そのような事も原因として揚げられますので現在は顧られなくなったと思われます。

 これより簡単な回路としてはP-K分割もあればカソード結合型もある訳です。更に考え方によってはクオード型などもあります。しかし、クオード型も実際には他メーカーで使われた事はありません。クオード型は決して優秀な性能を示す訳ではありませんが実用には全く問題なく使用可能な性能を示します。世の中余り重箱の隅をつつく様な事はしないのが無難だと思います。

 次回はクオード型回路についてて゜す。
 その結果のグラフが左です。見事に結果に発揮されております。

 一部のオーディオマニアにはNFBを極端に嫌うお方がおります。しかし、それはあくまでも限られた回路で、更に極限られた真空管にのみ当てはまる事であり全てに当てはめてしまうのは間違いです。

 この性能からすれば現在に通用する性能であり決して侮れない回路だと思います。

 しかし、現実してはこのような複雑な回路にする必要は無く、もっと簡単な回路で同様の結果が得られます。
 数は実際の回路です。この回路は上杉佳朗著による管球式ステレオアンプ製作80選による物です。この回路では実際にNFBが掛けられておりますので誤差の約20パーセントはほぼ解消されているものと解釈致します。

 この回路による最終性能も載っております。その結果やはりNFBの効果は充分に発揮されているようです。
 これを説明したのが左図です。

 V2の増幅率はP-G帰還ですのでRg1/Rになります。

 しかし、この回路は現在では全く顧られませんので必ずしも理解する必要は無いのでは ? と思います。私も実際に作った経験はありません。
 音声信号S1はそのままV1に入ります。V1により増幅された音声信号S2はRg1を通過してV2のグリッドに入ります。するとV2はRg2のプレートに接続されたP-G帰還による増幅を与えられます。しかし、この時にV1とV2の出力電圧に約20パーセントの誤差を生じるそうです。しかし、20パーセント程度の誤差であればNFBを掛ける事により解決してしまうのでは ? と私は思います。
S3
S2
S1
2020/10/23
 今回は現在では全く顧られなくなったオートバランス型位相反転回路についてです。

 しかし、この回路については私も良く解りません。何故か変なんです。要するにどう考えてもバランスするとは思えないのです。その証拠に実際にも位相反転後の両者に約20パーセントの誤差を生じるそうです。
 Q2の出力は当然正相の信号になります。ここで位相の異なる二つの音声信号が得られた結果となります。このように申し上げますとカソード結合型位相反転回路は完璧のように思えます。しかし、真空管はグリッドでコントロールした結果とカソードでコントロールした結果とは出力電圧が約10パーセント程度異なるのです。そこでマランツの場合はVR1でその差を調整する回路が設けられているのです。

 しかし、これがまたまた問題があります。それは各ディバイスは正確な性能を有している訳では無く各々誤差を持っております。これがカソード結合型の最大の欠点を持つ結果となります。要するにQ1とQ2の増幅率が異なるために必ずしもQ2の負荷抵抗を10パーセント増やすだけでは解決しない結果となるのです。そこでマランツの場合はR2とR3の値を変えてその分VR1を設けて解決しているのです。

 しかし、その問題はこれだけでは済まないのです。それは真空管とは劣化すると云う事です。時間と共にこの両者の音声出力電圧に誤差が大きくなって行きます。これは定期的に交流調整を必要とされる結果となります。

 以上がカソード結合型位相反転回路の説明です。しかし、カソード結合型位相反転回路は私の経験では位相反転回路は勿論、パワー段の直流調整も完璧にした状態では非常に優秀な音質になります。しかし、それは使用条件にもよりますが長くは続きません。要するに定期的に各調整が要求される事になると云う事です。しかし、一般のオーディオマニアはそのような事はしません。ここが最大の問題なのです。

 この辺の話をしますと非常に長くなってしまいます。よって、ここで止めますがほぼ全てのオーディオマニアは最良の状態では使っていないと云う事です。

 次回は古典型位相反転回路についてです。
Q2
Q1
 図はマランツ8Bです。私も当時は憧れて憧れて憧れ抜いたものでした。とは申せ当時高校生時代の私に買える筈などありません。そこで悔しいのをバネにして 「いつか見ていろ俺だて !」 で頑張った積りです ?

 さてさて、この回路を真似する事は可能です。しかし、出力回路はウルトラリニアー巻き線を持った入手不可能な物です。更に、例えばウルトラリニアーにしなくても出力トランスとは各々位相特性が異なります。よって、各所にある位相補正回路は全く異なる事になります。要するに再現不可能と云う事になります。

 マランツは何故か厄介な回路が好きなようでプリアンプの7型にしても何も K-K 負帰還にしなくてもと思える内容の回路だと私は思います。

 その辺の事は今回の話題から外れますので触れません。ここではカソード結合型の理屈について申し上げます。

 S1は入力された音声信号です。そのS1はQ1によS2とS3に分割されます。その時にQ1には負荷抵抗がありますのでほぼ2倍の増幅率を持つ事になります。S3の位相は当然逆相です。

 それと同時にR1を通してS1はQ2のグリッドに与えられます。しかし、その音声信号はC1によりアースされてしまっております。要するにQ2のグリッドには初段のスクリーングリッド電圧である直流電圧のみ加わっている事になります。要するに直流としてはQ1のグリッドと同電位である訳です。しかし、Q2のカソードにはQ1のカソードの音声信号がそのまま加わっております。その結果Q2はカソードからの突き上げ電圧により動作する事になります。
C1
VR1
R3
R1
S4
R2
S3
S2
S1
2020/10/15
 さてさて、いよいよ現在はほとんどのプッシュプルパワーアンプが使用しているカソード結合型位相反転回路についてです。

 この回路は理解するのに少々厄介ではあります。しかし、この回路の理論が理解されるとその他の古典型位相反転回路もクオード型位相反転回路もほぼ全て理解する事が可能です。これらを全てとは申しませんがある程度の物を実験しますと最終的な結論に達する事になります。この件に関しましては最終章で申し上げる事にしましょうね。
 図の回路は比較的新しく設計された回路のようで抵抗の値が現在の24分割の数値の物が使われております。

 前回のP-K分割もウイリアムソンも位相反転によるアンバランスが発生しません。そこで最終的にはパワーステージの直流バランスのみ取れば完成とする事が可能です。これはある意味価値のある事だと私は思います。

 さてさて、私は過去色々な回路のプッシュプルアンプを作って来ました。しかし、ウイリアムソン型だけは作った事がありません。理由はわざわざ作る意味が無いと思ったからです。最初から不都合が解っている物を作る必要はありませんのでね。

 それよりも可能性のあるカソード結合型に軍配は上がると思います。カソード結合型とは別名ムラード型と言います。現在のプッシュプルアンプの多くがカソード結合型を採用しているようです。やはり回路が簡単で、更に高性能とあれば当然の事だと思います。

 そこで次回はカソード結合型についてです。
 私の記憶に間違いなければウイリアムソンはNFB技術を開発したお方でして大変に偉大なお方だったと思います。ウイリアムソンに限らず電子技術は色々な偉大なお方達の存在があって現在に至っているのだと思います。例えば現在のトランジスターにしろICにしろあの偉大なロバート・ノイスと云う大変に偉大なお方のお陰だと私は思っております。

 ウイリアムソンが何故一段多く入れたのか ? 恐らくバイアスの深いパワー管を充分ドライブ可能とする為であろうと思います。しかし、結果として段数が増えた分歪みが多くなったのではないか ? そこで苦肉の策としてNFBを思い付いたのではないか ? 

 しかし、段数が多くなりNFBは余り深く掛けられません。理由は各段で少しずつ位相の誤差が発生するからです。そこでウイリアムソンアンプは軽いNFBに限られます。

 ここで余談ですが、図の回路は初段のカソードに直接NFBを戻しております。すると初段のカソードの自己バイアス電圧がそのまま出力に現れてしまいます。これは大きな問題とはなりませんがやはり直流電圧は防げるものであれば防ぐべきだと思います。
2020/10/1
 ウイリアムソンアンプとは図を見てお解かりのようにP-K分割位相反転回路の後ろに一段増幅の回路を設けた物です。
 これらの欠点は周波数特性として現れます。多くの物が20数キロヘルツからダラ下がりとなるようです。更に、少々バイアス電圧の深いパワー管には使えない事も欠点の一つとして欠点と言えば欠点です。

 このP-K分割回路によるアンプは我が国の場合はある程度の高級機には使われたものでした。よって、当時使われたパワー管は6AR5・6BQ5が多かったようです。

 しかし、現実的には数デシベルのNFBを掛ける異にりほとんど全ての欠点は取り除かれてしまいます。更に、上記のパワー管であれば最大出力は10ワットから10数ワットまで出ますので実用上全く問題は発生しません。にも関わらず当時からオーディオマニアは超々オーバースペックを好みました。その結果ピュアオーディオの片隅に追いやられてしまいました。これは淋しい淋しいオーディオマニアの性なのだと思います。そして、それは現在にも至っている事になります。

 ここでオーディオマニアが好む超々オーバースペックの問題点に関してです。

 確かにオーディオマニアが好む超々オーバースペックはそれだけ採れば正しいかも知れません。しかし、実際に我々はアンプその物だけの性能を追っている訳ではありません。追っているのは最終的な音です。それも一般家庭での小音量での音です。その為には大出力アンプなど何の意味もありません。逆に大出力アンプは小音量では歪みが多く音質の悪化を招きます。要するに超々オーバースペックは音質の悪化を招くだけでやってはいけない事なのだとお考え下さい。

 次回はウイリアムソン型についてです。
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 図はご覧のようにアルテックのかつての回路図です。但し、古い時代の物ですのでコンデンサー及び抵抗の値は現在はありません。

 P-K分割はプレートとカソードの出力位相が逆である事を利用した回路方式でトランス結合方式と同様最も簡単な回路だと言えます。とは申せクォード方式はもっと簡単な回路かも知れません。

 左の回路は初段の6SJ7の出力電圧を6J5に入れ、その逆相の出力電圧はプレート側、正相の出力電圧はカソード側に出力されます。その出力電圧をパワー回路に入れ、出力トランスで合成させる回路方式です。

 この辺の事はここで改めて詳しく説明する必要も無かろうと思います。

 P-K分割位相反転回路はプレートとカソードに同じ値の抵抗を入れる必要があり、これで増幅作用がありません。それが一つの欠点であり、もう一つの欠点はプレート側の出力は出力インピーダンスがカソード側よりも高い事が上げられます。

 このような事が原因でマニアの間では嫌われた回路となり余り高級機には使われなかったようです。
2020/9/30
 お待たせを致しました、それではP-K分割位相反転です。つまらない説明よりも実際の過去の実機の回路図で説明しましょうね。 

余談ですが   No,22