このアンプは約20年前にお客さんから頼まれて作った 12A(112A) の A1級プッシュプルアンプです。出力は1ワット程度だったと記憶しております。

 詳しくは覚えておりませんが整流は 80BK を2本使った両派整流のようです。初段と位相反転回路は 6Z-DH3A に依るPK分割方式だったと思います。サイズは幅45cmにも及んだと記憶しております。シャーシーも勿論私がアルミ板を組み合わせて作りました。トランス類やその他の部品は全てシャーシー内に納めました。

 このお客さんはタンノイのオートグラフをお使いになっておられました。その後何の連絡もありませんので恐らく問題なくお使いになっているのだと思います。要するに実行出力で1ワットもあれば能率の良いスピーカーシステムを一般家庭で鳴らしていれば何の問題も起こらないと云う事だと思います。

 次回はP-K分割位相反転回路についてです。
 改めて見てみると呆れるほどりますね。但し、現存するのは極々一部だと思います。とは申せ以前色々と調べてみましたらお金さえ出せばそれなりの物はまだ残っているようです。

 このリストの中に何故かシーメンスのEDがありません。ちょっと変ですね。

 さてさて、プッシュプルアンプについてです。

 プッシュプルアンプに関しては回路方式は色々とあります。それらを全て試した訳ではありません。その中で 「これはっ !」 と思える物に関して私の解る範囲でご説明したいと思います。

 本題に入る前にちょっぴり変なプッシュプルアンプをご紹介したいと思います。
2020/9/12
 プッシュプルアンプに移る前にちょっぴりサービスです。
 さてここで私のシングルアンプに対する総論です。

 現在は昔から優秀だとされている一部のシングルアンプには人気があると思います。しかし、それ以外の実用的としてされてきた小型真空管に関しては関心が無いようです。例えば6BQ5や6BM8などはほとんど振り向かれていないように思います。しかし、実際に使ってみると素晴らしい性能を有しているのです。要するに使い方次第なのです。

 例えば私は能率が悪いとされていたタンノイHPD385Aを長らく使っておりました。タンノイのデュアルコンセントリックタイプは一個のマグネットで二つの磁気回路を設けておりました。その結果当然磁束密度は落ちます。その分能率が悪いとされていたユニットです。しかし、それでも私は2A3のシングルアンプで朗々と鳴らしておりました。何故なら一般家庭だからです。

 オーディオマニアはとかく 「大きい事は良い事だ ! 高い物は良い物だ !」 で非常に無駄で、更に無駄にオーディオショップを儲けさせているのです。こんな馬鹿げた話しはありません。

 しかし、私は自家用以外に真空管式アンプを作ろうとは思いません。理由はその基本的な存在価値に疑問を感じるからです。やはり優秀な物は優秀な物として認めるべきだと思います。

 次回はいよいよプッシュプルアンプに移行します。
 写真はインターネット上で見つけた845です。中国製だそうです。このような物があるとは私も知りませんでした。

 845はご存知211を改良してオーディオ用としたオーディオ専用管です。211同様1000Vもの電圧を必要とします。当然一般の人が使うべき真空管では無いと思います。更にこれは中国製です。尚更の事使うべきではありません。信頼性最悪です。

 何せあの国の人には罪悪感がありません。他人の領域に勝手に入り、更にそこで魚まで捕って行ってしまいます。それに対して何の謝罪も,増してやお礼もありません。要するにあの国の人は罪悪感も責任感もありません。いずれは排除される運命が待っていると私は確信しております。
 なんとインターネット上で見つけた東芝製の211です。私も見た事がありません。現在でもあれば大変に珍しい物だと思います。

 当時は当然無線用として作られた物だと思います。何せこの時代に211をオーディオ用に使おうなどとは夢にも思わない時代です。

 この211はガラス管の頂上が絞られております。この目的は電極の保持用なんです。例えば250なども当初の物はナス型でした。しかし、ナス型の場合は電極の中心保持が出来ませんので、その後ダルマ型に移行したのです。この辺の話は伊藤喜多男氏の文献が面白いと思います。何せその時代に生きた人ですのでね。
2020/9/9
 久々の更新です。決してコロナに感染していた訳ではありません。この夏の猛暑でやる気を削がれていただけの話しです。仕事に関してもほとんど実働していなかった言っても過言ではありません。何せ歳を重ねれば重ねただけ夏の暑さには弱くなって行くようです。

 さてさて、211は非常に危険なアンプですので私はお勧めしませんと以前申し上げました。何せ一般家庭で、それも何処のガレージメーカーで作った物か判らない怪しげな物は使うべきでは無いと思います。それは845も条件は同じです。

 その昔伊藤喜多男氏は森川忠勇氏が211のシングルアンプを作った時に 「ぶっそうなアンプをお作りなさる」 と言ったとか ? 私もそのように思います。何せ供給電圧は1000Vに及びます。一般家庭で1000Vなんて電圧は他には無いと思います。

 以前211シングルアンプを修理した事があります。そのさいに1000Vもの電圧を測れるテスターなどありません。そこで510kΩの抵抗を2本直列に繋いで中点を測って確認した覚えがあります。更にといあえず音が出たところでさっさと蓋を致しました。何せ アッ っと思ったら大変な事になりますのでね。

 そんな理由でここでは211と845の写真だけ載せておく事に致します。
 
 次回は211及び845についてです。
 写真は42のシングルアンプです。出力は2ワットです。多くのお方は 「こんな物 !」 と馬鹿にすると思います。しかし、例えばダイアトーンのP610の様なある程度能率の良いスピーカーであれば立派な音で鳴ってくれます。要は真空管式小型パワーアンプは使い方さえ間違えなければ立派に鳴ってくれると云う事なのです。

 しかし、現在はそのようなスピーカーシステムをお持ちのお方は極限られたお方しか居ません。多くのお方が近年のトールボーイ超々低能率電熱器型スピーカーシステムでお聞きです。するとこのようなアンプでは力不足で充分にドライブ出来ません。すると 「こんな物は駄目だ !」 になります。

 しかし、私に言わせれば 「そんな訳の解らないいい加減なスピーカーシステムを使っているアナタが駄目なのよ !」 なんです。
2020/7/18
 こんかいは 「小型真空管によるシングルアンプの音」 についてです。

 小型真空管と言いますと45(245 以下45)から始まり大きい物は300B程度まででしょうか ? 211や845なんて物までありますが私は余りにも危険ですのでお勧めしません。危険と申しますのは扱う電圧が1000ボルトにも達します。余りにも危険です。勿論それなりの効果があるものであれば私もそこまでは申しませんがその効果が非常に怪しいと私は思っております。

 45のシングルアンプが放つ音は非常に好感が持てます。あの清々しい音は何物にも変え難い音だと思っております。しかし、残念ながらパワーアンプとしては市場にはありませんので残念ではあります。原因は既に信頼できる45はほとんど無いからに過ぎません。何せ古い古い真空管ですのでね。

 45のシングルアンプの製作記事には出力1.5ワットと記された物がほとんどですが実際には1.5ワットは出ません。ほとんど全ての物が1.3ワットです。それも完璧に調整された物の場合です。無調整の物は1ワット出ていれば出来の良い方だと思います。理由はドライブ電圧が足らないからです。

 普通は45のプレート電圧である250ボルトをほとんど同じ電圧で初段管のプレートに使います。その初段管は75(我が国の物であれば6Z-DH3A)がほとんどです。75は μ=100 の増幅率を持ちます。しかし、45のドライブ電圧まで達するか ? と申しますと若干足りないのです。要するに45その物は1.5ワットの能力はもっているのですがドライブ電圧の不足で初段でクリップしてしまうのです。この事は過去出会った物が全て同じでしたので間違い無い事だと思います。しかし、実際には1.3ワットであろうと1.5ワットであろうと現実的な不具合はありません。それよりも1.3ワット出ている事を確認する方がもっともっと大事な事です。何せ小出力ですので少々能率の悪いスピーカーですとクリップしてしまいますのでね。

 私はRC結合ではありませんが2A3のロフチンホワイトアンプの音が好きだと云う事は過去何度も申し上げました。あの清々しい音は何物にもにも変え難い音だと感じております。何故なのかは判りません。しかし、多くの2A3シングルアンプは本来の最大出力である3ワットは出ていないようです。やはり45ボルトと云う深いバイアス電圧に対して初段の供給電圧に問題があるのだと思っております。

 しかし、多くのオーディオマニアは小型パワー管シングルアンプの音は聞いていないと思います。世の中には市販にある事はあります。しかし、多くのオーディオマニアはそのようなアンプを馬鹿にして聞こうとしません。要するに聞いた事もないのに単に思い込みで聞いていないのです。

 しかし、実際にある程度の能率のスピーカーシステムであればほとんどアンプの物は立派な音で鳴ってくれます。増してや比較的旧型のスピーカーシステムは近年のハイパワートランジスターアンプよりもゆったりとしてふくよかな音で鳴ってくれます。例えばJBL LE8Tなどは大変に好感の持てる音で鳴ってくれます。

 今では語られなくなった事を。JBLが世の中がトランジスター式に移行して行った頃のお話です。JBLはLE8Tをトランジスター式パワーアンプで鳴らす場合はスピーカーに直列に数オームの抵抗を入れるように説明しておりました。理由はトランジスター式パワーアンプはダンピンクファクターが大きい為ふくよかな音が殺がれてしまうからです。

 皆様もLE8Tに順ずるスピーカーをお持ちでしたら是非とも小型真空管によるシングルアンプを試してみる事をお勧めします。
 以前我が国のかつての真空管メーカーはヒーターを当時のソ連や中国に大量に輸出した事がありました。ひょっとするとその在庫が無くなり自国製のヒーターを使ったのかも知れません。例えば東芝の場合はヒーターだけでは無しにソケットの UV も大量にソ連に輸出したそうです。すると現在我が国で売っている UVソケット は元々我が国製の物なのかも知れません。

 要するに気にしない場合は整流にはシリコンダイオードを使った方が安心だと云う事なのでしょうね。

 現在は知りませんが以前は何故か 5R4 に人気が集まりました。理由は音質が良いからの噂からだったと思います。しかし、考えてみて下さい。そもそもA級アンプであれば先日の話のようにB電流はほとんど動きません。当然整流管に何を使おうが単に内部抵抗の関係で発生電圧の違いしかあり得ません。にも関わらず整流管により音が違うとは理屈からしてあり得ません。

 オーデイオ界ではそのようなあり得ない話が当たり前のように通用しているのです。おかしな話なのです。中にはフィールド型スピーカーの電源も整流管により音質が異なるとか ? 理屈からしたらあり得ない話しなのです。このような話はもっとあります。フィールド型スピーカーの電源はセレン整流器が最も音質が良い ? なんて話を真面目にするお方までおります。

 ここまで話がエスカレートしますと 「何をか言わんや」 なのです。そもそも色々と言うお方のほとんどのお方は先ずは自分が好む音の傾向を言いません。更に自分が使っているスピーカーの事も何も言いません。それで聞く側も 「これこれは音が良い」 なんて聞くとそれに飛び付いてしまいます。要するにどっちもどっちなのであります。

 オーディオマニアの事をこれ以上言いますと余りにも悪口が過ぎますのでこの辺で止めます。何せ私もオーディオマニアの端くれですのでね !

 次回は小型パワー管によるシングルアンプについてです。

 
 5A4R のような膀熱型の整流管はB電流を取り出すのにカソードが接続された 5番ピン に接続する必要があります。理由は 1番ピン から取り出しますとヒーターにB電流が流れてしまうからです。ひょっとするとその辺に原因があったのかも知れません。要するに近年の真空管は真面目に作ってないのです。
2020/7/17
 こんかいは 「近年の整流管は怪しい」 についてです。

 私は既に50年も前の話しになりますが 5R4 に凝った時期がありました。理由は耐圧が高かった事と内部抵抗が高いので余り人気が無く当然偽者も無いと思ったからです。先日まで NEC の 5R4 を数本持っていたのですが何処を探しても出て来ません。恐らく奥の奥にしまってしまったのだと思います。

 近年の真空管はパワー管は勿論整流管までも怪しい物があるそうです。これは今から10年程前の話ですがロシア製の 5AR4 は怪しいとの事でした。その現象は普通に差し替えても何故か数ヶ月で駄目になってしまうとの事でした。ひょっすると 5AR4 は膀熱型の整流管ですのでカソードの接続が違っていたのかも知れません。
2020/7/16
 今回は整流管の各許容値についてです。

 先ずは耐電圧についてです。
 私はあれはあれで少々考え物だと思っております。ひょっとして私も歳を重ねて少々・大変に・かなり頭が堅くなっているのかも知れません。

 長くなりましたので次回に続きます。次回は近年の整流管は怪しいについてです。
 右は 5U4-G(5U4-GB)の規格表です。

 かなり正確に表記されております。但し、これは公称値であり完璧な数値表記ではありません。使う側ではその辺を考慮して使う必要があります。

 この辺の事は何も真空管に限らず各ディバイス条件は同じです。要するに規格表に載っているからと言ってギリギリまで使うと思わぬ落とし穴に落ちる事になります。

 例えば昔の話しですが 6V6 を逆さに固定して缶に水を満たしてプレートが真っ赤になるまで使い、最大出力10ワット出たなんて何とも信じがたい話しなんて物もありました。但し、恐らく 6V6 の寿命は相当に短かったのではないかと思います。

 これを利用したロックギターリストが居ました。名前が出て来ませんがそのギターリストはギターアンプのバイアス回路を改造してほぼ全開状態で使い真空管自体の歪みを利用してディストーションと称しました。その代わりワンステージ毎にパワー管を交換したそうです。しかし、そのギターリストはかなり知識があったと思います。

 現在ではのような事を行うアーティストも居ないし、そこまでの知識があるアーティストも居ないと思います。

 現在のギターのディストーションはほとんどがトランジスター式で決して無理を強いてのディトーションではありません。

 それにしても何故ロックのギターリストは真空管式のアンプを使うのか ? 私には理由が解りません。世の中には二大ギターアンプメーカーがありますが両者汚い内部配線で私は見たくありません。

 しかし、ジャズギターリストは必ずしも真空管アンプは使いません。ほとんどのギターリストはトランジスター式アンプを使っております。その辺の事はヤマハも 「必ずしも真空管式を使う必要は無い」 と言っているそうです。そのように言う私もそのように思います。そもそもジャズの世界ではディストーションを使う人は極限られた人しか居ないと思います。

 しかし、私は多くのジャズギターリストが憧れていたジム・ホールはディトーションどころではありません。高域を極端に落としてホワホワの音を出して演奏しておりました。
Q
A
(-V2)
(-V1)
+V√2
V2
V1
 この説明には先日の図をりようします。

 整流管 Q のプレートには交流が掛かっていますので +V と -V が交互に掛かります。整流後の A点 には当然 +V√2 が掛かっております。何故 √2 なのかと申しますとサインカーブの場合はピーク電圧は√2倍の電圧となるからです。

 すると Q には 最大-V +V√2 の電圧が掛かります。その結果 Q の耐電圧は整流しようとする電圧の約3倍の許容電圧が必要と云う事になります。 
 よって、ハムノイズとは片波整流回路の場合は商用電源が50Hz地域では50Hzのノイズ、60Hz地域では60Hzがノイズの周波数になります。しかし、両波整流の場合は両者二倍の周波数となります。しかし、近年は何故かジーと云う音もハムノイズとして扱っているようです。ジーノイズは原因が異なったノイズであり決して電源ノイズなどではありません。この周辺の事もいずれ説明する事になると思います。

 真空管にこだわりを持った人の場合は整流にも真空管をお使いのようです。しかし、整流管にも規格があり耐電圧もあれば最大使用電流にも許容値があります。更に、コンデンサー入力の場合にはコンデンサーの許容容量もあります。

 次回はその周辺のお話にしましょう。
 1 を上側だけ取り上げたのが片波整流回路です。それをコンデンサーに入れて平滑すると 2 の波形になります。但し、斜線になっているのはこの回路に負荷としての電流が流れている場合の波形であり、負荷としての電流が流れていませんと斜線のような波形にはならず平らになります。要すに負荷としての電流が存在しませんと電圧降下もしないと云う事です。



 これが両波整流となると左のような結果となります。要するに波形の下側を上(プラス側)に変換します。すると同じ負荷であってもリップルは軽減される結果となります。

 このリップルがオーディオの場合はハムノイズと云う結果をもたらします。そこで現在はほとんどの場合に両波整流回路が採用されている事になります。
2
1
2020/7/15
 一言に電源と申しましても色々な種類と方法があります。昨日の回路は整流管による両波整流回路ですが、交流の片方だけを使った片波整流回路もあれば倍電圧整流回路もあり、この延長線上で3倍・4倍・・・、と何倍でも電圧は上げる事は可能です。

 現在はパワーアンプの場合はほとんどがパイ(π)型フィルター回路による両波整流回路のようです。但し、電圧回路の場合は多くの場合に直列型安定化電源方式を使っているようです。

 ここで改めての説明ですがパワー回路とは電力を扱う回路の事でありオーディオの場合はパワーアンプに限られます。しかし、負荷がモーターのような場合は色々とあります。この場合にFETは元々モーターのスピードコントローラーの様な負荷を扱うディバイスとして開発されたディバイスです。

 それでは整流した後の波形の説明です。
C2
C1
 多くのお方は余りにも当たり前の事を当たり前の事として捕らえてしまいます。しかし、私に言わせれば 「全ては疑問から」 なんです。要するに 「人を観たら疑うな。学問を観たら疑え」 なんです。

 そもそも例えばB級アンプの場合でも一般家庭で使っている場合は極少の音圧です。当然B電流の変化も取るに足らない程度の変化量です。この場合も一般家庭用もPA用もごっちゃなのです。

 そんな意味でA級アンプの場合は C1 を小さくしてチョークコイルを抵抗に置き換え、 C2 を大きくした方がリップルも少なく出来、その分最終的なSN比も稼げます。C1 を小さくする理由は整流管の寿命を考えての事です。更にこのπ型フィルター回路を可能なだけ重ねますと更にSN比は稼げます。

 しかし、これはあくまでも一般家庭用であり、更にA級アンプの場合である事を忘れてはいけません。

 次回はもう少し穿って考えてみましょう。
 図は両波整流の場合の回路です。↓ はチョークコイルです。実はこれが今回のテーマなのです。要するに今回は結論から始める事に致します。

 A級動作アンプの場合はB電流の変化が非常に少ない事は皆様ご存知だと思います。にも関わらず多くの自作マニアは電源のインピーダンスに妙に拘ります。B電源の電流変化が極少であればレギュレーションはほぼ無関係の筈です。すると何も大きなスペースを必要とするチョークコイルなど使わずに抵抗で事は済みます。

 要するに私に言わせれば多くの自作マニアはA級アンプもAB級アンプもB級アンプもごっちゃになっているのでは ? なんです。
2020/7/14
 アンプのB電源を作るには整流管式とダイオード式がある事は皆様ご存知だと思います。因みにA電源とはヒーター電源です。C電源とは固定バイアス式の場合のマイナス電圧電源の事です。

 一般にダイオード式と言いますとシリコンダイオード式を指しますがダイオードとは元々整流管のような二極管を言います。二極・三極・四極・五極⇒ダイオード・トライオード・テトロード・ペントードの順番です。

 この両者は昔から色々と言うお方がおりました。私は格別こだわりはありませんが見た目の問題で、それらしい姿形の物はやはり整流管が相応しいと思ってはいます。
 この場合に多くの自作マニアは位相補正を行い 2 のリンギングを取り除き綺麗な矩形波にしようとします。その結果当然高域のピークは無くなります。では果たしてその必要があるか ? の問題なんです。

 私の場合も当然位相補正を行います。何せ簡単な作業ですのでね。その結果確かに高域のピークは無くなります。しかし、我々は人です。コウモリではありません。40kHzもの高い音は聞えません。何も聞えない高い音を補正したところで何か意味があるのか ? なんです。私は無意味だと思っております。

 多くの製作記事には位相補正のコンデンサーをそのままの数値で載せております。しかし、実際には出力トランスが変われば位相補正のコンデンサーの数値も再調整する必要があります。中には今では入手不可能な UTC や ピアレス の出力トランスをこれ見よがしに使った製作記事もあります。この場合は現在入手可能な出力トランスを使うしかありません。当然位相補正の数値も変わります。それだったら最初からそのような表記はやめた方が良いと私は思います。

 次回はA級アンプの電源についてです。
 1 はパワーアンプへの入力波形です。一般的には1kHzでの測定です。

 2 は位相補正無しのパワーアンプの出力波形です。しかし、これは全てではありませんで中には位相のズレが発生しないパワーアンプもあります。これはオシロスコープで観測しませんと判りません。

 3 は 2 のような波形を示すパワーアンプが示す周波数特性です。高域のピークは多くの場合に40~50kHz近辺の周波数になります。
3
2
1
2020/7/13
 今回はNFBについて少々考えてみましょう。

 直熱型三極管を好むお方はNFBを諸悪の根源的扱いをします。しかし、それは使用しているスピーカーシステムの発する音と大きく関係します。何故ならNFBを施す事によりダンピングファクターが大きくなります。すると古典的なスピーカーの場合はそれがアダとなり古典的スピーカーの発する音に悪さをするからです。しかし、近年のスピーカーシステムの場合はそれが逆に作用します。すると近年のスピーカーシステムの場合はNFBを施しませんとボケボケの音を発するようになります。

 NFBは良く無いと言って全てに当てはめてしまうのは間違いです。やはり全体を観る事と理屈で判断する事が大切な事だと思います。

 さてさて、話をそこまで広げてしまうと遠大な内容となりますので今回はNFBによる位相のズレに絞って考えてみましょう。 
 このアンプはパワーアンプとしては最も小型で恐らくベテランは今更作る人も居ないと思います。しかし、このアンプはほぼ完璧に調整してあります。そうしませんと最大出力は3W出ません。多くの自作マニアは設計図に沿って作って、完成して音が出ると設計通りの性能が出ていると思い込んでいるお方がほとんどだと思います。しかし、例えば300Bのプッシュプルアンプで設計図では35W、しかし、測定してみると3Wなんてアンプは当たり前に存在します。

 勿論NFBの掛かったアンプの場合は位相補正をしませんと正確に正しい動作はしないと思って間違いありません。やはりアマチュアとは言え測定器の三種の神器は必要なのだと思います。

 とは申せ近年はハイパワーアンプが当たり前になり小型アンプなど誰も振り向かないと思います。昔 「振り向いてもくれない」 なんて曲がヒットしたのを思い出します。

 しかし、このような小型アンプを少々能率の良いスピーカーシステムであれば立派に鳴ります。例えばタンノイ オートグラフなどでは現在のトランジスター式ハイパワーアンプなどよりも朗々と音を出してくれます。その原因はダンピングファクターにあるのですが、この辺の説明をしますと大変な長文となってしまいますので今回は割愛します。

 今回も少々長くなりましたので、この辺で終わりにしますが、次回は少々穿ってNFBについてにします。
 以前真空管の在庫箱を整理しておりましたら新品基箱入り未開封品が出て来ました。メーカーは東芝です。そのまま放っておくのも心もとないのでちょっぴり風変わりな姿で作った自家用アンプです。出力は3W+3Wです。回路としては勿論代表的なRC結合回路です。パワートランス・出力トランス、その他の部品は全てシャーシー内部に納めました。

 勿論内部はぎっしりと詰っております。正直申しますと出力トランスが入り切らず取り付け用のフランジを一部少々削り落としております。このようなアンプを作る場合は事前に実態図を描きませんと失敗します。要するにこのような完成写真が載っている物は実際に作っておりますのでそのままコピーしても音が出ないなんて事はありません。

 使ったパワートランスはトヨズミ(トヨデン)、出力トランスは春日無線で扱っている安物です。春日無線の社長は学生時代の級友なんです。とは申せ彼は電子科、私は機械科でした。
2020/7/11
 RC結合のシングルアンプは古くは45(245)から始まりその後は6V6・6BQ5・6BM8等々使える真空管はいくらでもあり作り飽きているのが本音だと思います。すると過去の経験から改めて作らなくても図面などいくらでも描けます。するとそれがアダとなり上述のような結果を招いてしまう結果となります。

 私も色々と作った経験があります。しかし、6V6の物は作った事はありませんでした。理由は当時は6V6は6BQ5などと比べると少々高かったのです。そこで私の場合は6BQ5・6BM8が主流だったように記憶しております。その後は当然の如くエスカレートしてプッシュブルアンプとなります。
 更に問題があります。それは製作記事その物にあります。製作記事に出来上がりの写真の無い記事のに多くは実際には作っていないのです。要するに慣れから来る失敗なのです。しかし、本人はそれが基で多くのファンに迷惑を掛けている事は知りません。悪気の無い迷惑行為なのです。悪気は無いのすでから罪は軽いかも知れませんし、更に刑法に触れる事もありません。しかし、私に言わせれば罪悪は罪悪だと思います。

 次回に続きます。
 パスチック発振は三極管に限らずビーム管でも五極管でも当たり前のように起こります。その対策には上の方法のみだと思います。

 もし、何回組み直しても音が出ないとお悩みのお方が居りましたら是非とも試してみられる事をお勧めします。
 昔のこの手の雑誌にはこのような記事が載っていたものでした。とは申せ私も数十年この世界に居りますがパラスチック発振の記事は右に示した一冊のみでした。

 この雑誌は昭和37年(株)誠文堂新光社から発行された物です。この雑誌を所有しているお方も極少ないと思います。ひょっとしたら私と国会図書館のみかも知れません。

 この一冊は大変に役に立つ内容満載なんです。今ではほとんど見る事も無くなりましたが時として原点に戻る積りで確認の意味でページをめくる事もあります。中には今では全く顧みられなくなった内容も載っております。何せ増幅作用(約6dB)のあるP-K分割位相反転回路なんて記事もあります。

 最近はこの手の雑誌は全く見掛けなくなりました。恐らく本を出すだけの知識が無いのだと思います。要するに基本中の基本を知識として持っている方々は既に天に召されてしまったのではないか ? なんですがね。
2020/7/10
 原因はパラスチック発振です。パラスチック発振の詳しい内容は私にも解りません。但し、数メガヘルツで激しく発振する事を言います。話しによりますと昔のブラウン管テレビの水平発振回路では何も対策を講じていませんとほぼ間違いなく起こった現象のようです。

 この対策方法は下記に示した↓の方法だけだそうです。パワー管のグリッドに直列に数キロΩの抵抗を入れるのです。この抵抗の容量は真空管式の場合は作業のし易さからして1/2ワットてが良いと思います。
T1
Q2
Q1
 要するに Q1 で入力信号をある程度増幅して Q2 の必要電圧まで上昇させます。Q2 はそれなりの電流が流れております。それを利用して T1 でパワーを抽出している回路です。普通に作れば音はでる筈です。しかし、何故か音が出ないのです。

 原因は勿論半田付けの不良も考えられますが、そんなに何回も何回も半田付けの不良などある筈が無いと考えるのが普通です。

 このような場合の原因として考えられるのがパラスチック発振です。

 パラスチック発振とは ? 次回に続きます。
2020/7/9
 素人の場合は多くのお方は測定器を持っておりません。すると当然各箇所の電圧を測っておしまいです。

 さてさて、期待感頂点です。音源を繋いで 「あれ ! 音が出ない」 なんて事は当たり前に起こります。勿論間違い探しをします。しかし、各箇所の電圧がほぼ正しければ配線の間違いは無いと思って間違いありません。しかし、音は出ません。

 すると多くの場合に最初から配線のやり直しです。しかし、何度配線のやり直しをしても音は出ません。多くのお方は ??????? なんです。

 増してや作ったアンプは最も簡単な回路であるRC結合によるシングルアンプにも関わらず音が出ないなんて事は当たり前に起こります。

 RC結合アンプとは図に示すオーデ゜ィオアンプとしては最も簡単な回路です。
 ダイアモンド砥石は素人用であり、その路のプロが一般の砥石と同じように研いでしまうとどんどんと減ってしまいます。しかし、素人が台所で簡単に研ぐには非常に便利な砥石だと思います。

 いやいや、またまた道草をしてしまいました。次回は 「さて、アンプが完成しました」 についてです。
 これは大変に便利に使えるスピードコントローラーなんです。巻き線型モーターであれば無回転から最高速度まで無段階調整です。元々の目的は電気ドリル用に作ったのですが、勿論その使い方で駆使しておりますが、時として農耕刃物を研いだりもしております。

 刃物は研ぐ時にディスクグラインダーなどで赤熱させてしまいますと鈍ってしまいます。そこでディスクグラインダーのスピードを落として研ぐのです。すると新品の切れ味に蘇ります。

 とは申せ調理用の包丁の場合はそんな激しい事は出来ません。そこで私の場合はダイアモンド砥石を使っております。

 以前某すし屋でそのような話をしておりましたら板前が 「ダイアモンド砥石は包丁が直ぐに無くなってしまう」 と言っておりました。
2020/7/8
 たかが半田、されど半田なのです。素人がアンプを組み立てて音が出ない原因の七割は半田付けの不良と言われております。

 間違いの無い半田付けのコツは 「グズっと流れるまで」 なんです。更に近年の電子部品は熱に強くなっております。昔の常識は今の非常識なんです。かと言って必要以上に加熱(過熱)しますと思わぬ失敗に繋がりますので要注意ではあります。何事にもさじ加減が大事云う事ですかね。

 さてさて、アンプ作りも最終段階のシャーシー選びです。アンプ用のケース及びシャーシーのメーカーはリード・アイデアル・タカチが我が国の三大メーカーだと思います。以前はほぼ全てがオーディオ用アンプシャーシーだった鈴蘭堂があったのですが残念ですね。

 シャーシーの材質は勿論アルミニュームなのですがアルミニュームは柔らかいとは言えやはり金属です。加工にはそれなりの工具が必要です。中には図面を元に加工してくれる業者もあるそうです。しかし、可能なものであればやはり自ら額に汗して加工したいですよね。

 私の場合は数十年前からの経験があり、当然それだけの工具も持っておりますので新たに購入する計画はありません。しかし、それらの合計金額となりますと大変な額にはなります。可能であればフライス盤が欲しいのですがフライス盤の場合は刃物に大変な費用が必要です。よって、諦めているのか゜実情です。

 中には市販に無い巻き線型モーターのスピードコントローラーなどは自作した物も持っております。
 さてさて、その辺のお話は本筋とは異なりますので別扱いとして本道に戻ります。

 穴開きのユニバーサル基板は恐らく多くのお方はそのまま使っていると思います。しかし、そこに落とし穴があります。綺麗に見える表面(実際には裏側)は見た目には綺麗なのですが実際には目に見えない汚れでいっぱいなんです。そのまま使いますと半田が綺麗に乗りません。

 私の場合は穴開き基板はめったに使いませんが使う時は先ずは磨きます。その方法はクレンザーなどの磨き粉で金属たわしを使いピカピカになるまで磨きます。その後乾燥させて液状フラックスを前面に塗ります。その状態にしますと半田も綺麗に乗り、当然仕上がりも綺麗です。是非ともお試しあれ ?

 次回に続きます。
 写真は代表的な穴開きユニバーサル基板です。

 真空管式アンプの場合は穴開き基板を使用する人は多くは無いと思います。しかし、ギターアンプで有名な二社はユニバーサルではありませんが基板配線です。私は一時期ギターアンプの修理を営んでいた時期がありました。しかし、その内部を観るとうんざりするほど汚いのです。何も汚れで汚い訳ではありません。汚いその理由はぞんざいな配線なんです。二度と見たくないほど汚い配線なんです。

 更に、重量配分がめちゃくちゃなんです。何せパワートランスと出力トランスが両方とも片側に取り付けられているのです。しかし、グリップは中央なんです。当然グリップで持ち上げるとアンプは斜めになり非常に持ち辛いのです。

 そのような物を世界中のミュージシャンは当たり前のように平気で使っているのです。私には彼らの気持ちが解りません。絶対に変です。
2020/七夕
 真空管式に関わらず実態配線図を描く事は失敗しない為の必須条件です。勿論各部品のサイズの確認の意味からです。例えば私も昔凝った覚えのあるスプラグ社のビタミンQなどは思いの他大きい物です。 「こんな物だろう」 なんて適当に想像してシャーシーを選んでおくと 「こんな筈ではなかった」 なんて事になります。

 本来電子部品のサイズは基本的にインチサイズでした。現在でも基本的にはインチサイズのようです。しかし、細かな部品になりますと必ずしもそのようにはなっていないようです。確かにICのピンの間隔は表面取り付けの一般的は物は1/10インチピッチです。そこで図面を描く時に2.54ミリピッチで描きませんと14ピンのICなどはずれて行ってしまいます。

 しかし、コンデンサーなどは必ずしもインチサイズではないようです。中には4ミリメートルの物もあれば4.5ミリメートルの物もあります。5ミリメートルの物などの物もあります。更に厄介なのは各社若干異なる物もあります。しかし、どれも大同小異ですので基板に1ミリメートルの穴を開けておけば大抵の場合に問題にはなりません。問題は真空管式で穴開き基板を利用する場合です。
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 図は改めて説明するまでも無いと思います。要するに半田は富士山型が理想でダンゴ半田は禁物と云う事です。ダンゴ半田は機械的には固定されているとは思いますが電気的には絶縁された状態が非常に多いのです。例えば写真下のたてラグです。一見綺麗に見えます。しかし、実際には汚れている物が多く、そのような物の場合は多くの場合にダンゴ半田になってしまいます。

 そのような場合にはやはり半田付け用のペーストが最も有効です。ヤニ入り半田だからと言って安心してしまいますと思わぬ落とし穴にはまってしまいます。

 ペーストは元々半田付け部分を掃除する意味もありますが半田の酸化防止の意味もあります。半田は一度酸化しますと中々元には戻りません。そこでペーストをほんの少し与えてやると瞬時に還元されます。すると富士山型の半田付けが可能となります。やはり何事も信用してはいけません。世の中と同じです。信じられる物(者)は女房といいたいけれど ????? ってな部分もありますからね。

 昔はシャーシー内の配線に錫(スズ)メッキ銅線を多用しました。錫メッキ銅線をエンパイヤーチューブに通して使ったものでした。しかし、現在はほとんど全てVSFと呼ばれるビニール被服より線を使うのが普通です。その場合も配線はラグ端子のハトメ部分に半田付けし、各部品はラグ端子の上に半田付けするのが普通です。ここにも大変なコツがあります。それは

 必ず実態図の描く

 なんです。

 長くなりましたので次回に続きます。
2020/7/6
 先ずは最も簡単だと思われる RC結合 によるシングルアンプからです。しかし、その前に基本的な事を説明します。これらはシングルアンプに限らず全てに共通で言える事ですので基本中の基本ですのでいくらベテランとは申せ守らなければいけません。

 先ずは半田付けについてです。 

余談ですが   No,21