この説明でエキスパンダーの動作はある程度ご理解頂けたと思います。要はエキスパンダーの本来の目的は中音楽器及び高音楽器にあるとお考え下さい。

 ここでボーカルソフトについてです。

 そもそも人の放つ声はそれ程大きくはありません。ロック歌手の声は大きく聞こえます。しかし、あれはPAにより大きな音にしているだけの話で基本的な声は知れたものです。例えばロックコンサートのライブ録音の場合はボーカルの声はPAにより大音響になります。しかし、当然コンプレッサーが掛けられております。各楽器の音もPAで大音響になっています。それも当然コンプレッサーが掛けられております。すると大増幅して、更にコンプレッサーを掛けられた音声信号は大変に捻じ曲げられた音声信号となり、もはやエキスパンダーは動作範囲を遥かに超えてしまっております。よって、ロックに類するソフトにはエキスパンダーは無意味と云う事になります。ではバラードの場合は?

 本来のバラードは耳当たりの良い音楽だったと思います。すると歌手も激しい大きな声では歌いません。当然コンプレッサーも最小限で使います。その結果本来のバラードにはエキスパンダーは無意味と云う事になります。

 しかし、近年のバラードは我々の年代が考える内容とは少々異なるようで、かなり激しい歌い方をもバラードと呼んでいるようです。すると結果としてロックと大差の無い録音条件となります。よって、近年のバラードソフトにも不向きと云う事になります。ではオペラは?

 オペラ歌手の声帯は我々の声帯とは別物と考えた方が無難なようです。彼らは “身体が楽器” ですので効果抜群です。

 オーケストラの場合は効果はある事はあります。しかし、実際のオーケストラの大迫力を想定してはいけません。実際のオーケストラの迫力は再現しようにも再現不能です。但し、カルメン序曲のような曲にはかなり効果的です。勿論それに準じた曲にも効果的です。ある程度雰囲気は伝わって来ます。

 ここで過去何回かご紹介したと思いますがオーケストラの録音方法について少々。

 オーケストラの録音エンジニアーは楽譜を見ながら録音機器を操作します。要するにピアニシモのような耳を澄まさないと聞こえないような音の時はフェーダーを上げて録音します。フォルテシモの時はフェーダーを下げて録音します。要するに “人間録音装置” となります。そうしませんとフォーマットに入り切りません。それ程の大きなダイミックレンジであると云う事になります。

 以上、参考意見でした。
 プログラム機器の出力波形は左に示したような波形です。要するに大きな低音楽器の上にメロディーを奏でる中音・高音楽器の波形が乗っております。このような波形が左右二つから成り立っているのがステレオ再生です。

 しかし、ソフト側の録音特性には各々限界があります。その限界のダイナミックレンジの大きさがCDの場合は76dB(約63O0倍)なのです。しかし、限界まで全て使うのは危険です。理由は飛び出してしまったらその部分は音が無くなっていしまいます。そこでコンプレッサーを使って大きな音はつぶしてフォーマット内に収める訳です。

 通常は最大でも-6dB程度にしているようです。皆様は “僅か6dBか!” と思うと思います。しかし、- 6dBとは 1/2 です。要するに6300倍に対して3150倍になってしまいます。しかし、実際にはそれでは済みません。この表示は電圧表示だからです。

 実際に音を出すのはスピーカーです。スピーカーは単に電圧では音は出ません。電流が必要です。電圧が 1/2 になってしまえば電流も 1/2 になってしまいます。すると結果として

    1/2×1/2=1/4

 となり音圧は 1/4 になってしまっているのです。

 その結果低音楽器の音も中音楽器も高音楽器全て押し潰されて詰まらない音になってしまっているのです。


 それをグラフ化したのが左です。

 このグラフは低音楽器の大きな波形に乗った中音楽器・高音楽器の音も一緒に押し潰されている事を示しております。この事すは実際には大問題なのです。それは例えば低音楽器だけならバンドパスフィルター(当方のMB及びMB-Ⅱなど)を活用して限定された周波数範囲をブーストすれば解決します。しかし、低音楽器と共に押し潰された中音楽器・高音楽器の音はそのままです。

 その結果例えばピアノの激しい音もサックスの竹製のリードが激しく振動する鋭い音も削られている事に直結しているのです。

 エキスパンダーは低音楽器の大きな波形が入ると当然その波形を伸ばして本来の波形に戻す働きをします。それと同時にその大きな波形に乗った小さな波形も伸ばします。その結果中音楽器の音も高音楽器の音も元に戻す働きをします。
 エキスパンダーはある程度のレベルの音声信号が入った時に効果を現します。

 右のグラフをご覧になって頂ければ一般的なオーディオ機器はリニアー動作しますのでコンプレッサーによりつぶされた音声信号はそのまま増幅され、そのままの波形で出力されます。その結果楽器が持つ激しさ、鋭さなどは軽減されて去勢された家畜のようにおとなしさだけが残った淋しい音楽になってしまっています。

 コンプレッサーの悪影響はそれだけに留まりません。それは低音楽器によりつぶされた音と共にメロディーを奏でる中音・高音楽器も共につぶされてしまっているのです。

 それらの説明は以下です。
←一般のオーディオ機器の増幅特性
   
コンプレッサーの動作特性
エキスパンダーの増幅特性⇒
 エキスパンダーの目的はコンプレッサーを掛けない元の音の出方に戻す為の機器です。コンプレッサーは掛けないで済めばそれに越した事はありません。しかし、実際には各記録メディアのフォーマットの関係で掛けない事は果てしなく不可能です。よって、コンプレッサーは必要悪であると私は思っております。

 接続は

       各プログラム機器⇒本機⇒プリアンプ

 ですので入力は5回路持たせております。

 出力は3回路で並列接続です。本機の出力インピーダンスは負荷として400オームまで対応します。よって、通常のオーディオ機器であれば数十台繋いでも全て正常にドライブします。

 尚、その際の各システムの入れ替えはプリアンプ側で行います。
 300w×50h×200d(筐体サイズ) 最終的なスタイルです。
2017/7/27  最終回
 いよいよ最終回です。
¥85.000.-税・送料込み。(電源コードは付属させておりません。ご用意願います。)
 写真は便宜上先日の試作品の写真を載せました。製品との違いはパネル左下の EXP-Ⅱ が EXP-ⅡS になっているだけです。

 S はスタンダードの意味であったりスペシャルの意味でもあります。ひょっとするといずれ L なる物を出すかも知れません。 L はローコストの意味です。要するに簡素化した回路で対応しようとする物です。しかし、果たして簡素化して満足の行く性能を確保出来るか? 少々不安ではあります。何せ一般では考えられない回路を搭載しているものですからね!
2017/7/19
 EXP-ⅡS 発売しました。

 本日は余りにも暑いのでここまで。次回はちょっぴり詳しく説明出来れば良いなと思っております。
 10数年前に “音乃翔” なるエキスパンダーを発売しました。確かに効果抜群でした。しかし、その後エキスパンダー効果を発揮する素子が無くなり製造中止となってしまいました。

 その後違う方法でエキスパンダーを作ったのですが効果が今一で正直申し上げて失敗作でした。その後モンモンとした気分で何ともやり切れない思いでした。

 そんな中何気無にインターネットを覗いておりましたらそれらしい素子があるではありませんか。早速試してみました。それが先日ご紹介した試作品の試作品です。

 今回も当然試作品ですが完成度はかなり高い物になっております。

 ここでコンプレッサーについてです。

 皆様はコンプレッサーについて余り興味がないようです。コンプレッサーはほとんど全ての音について関与しております。例えばテレビの音です。勿論AM放送・FM放送にも使用されております。例えばFM放送です。自分の持っているソフトが掛かる事が良くあります。しかし、自分の持っているソフトの音の出方と明らかに違いがあります。原因は放送時のコンプレッサーです。では、何故コンプレッサーを使うのか?

 それは事故の時の爆音を防ぐ目的です。もしもアナウンサーがマイクを落としたら爆音を伴います。更に以前ホンコンの人気歌手の録音現場での事です。その歌手は自分の歌が歌い終わったら何とマイクを床に投げ捨てたではありませんか。あれには驚きましたね。人気歌手なんて者は所詮はそんな者ですかね。

 さてさてコンプレッサーです。本来アコースティック楽器のほとんどは激しい音を発します。以前我が家の近所に三味線の師匠さんがおりました。私はそのお宅の前を通るのを楽しみにしておりました。

 その三味線の師匠さんのつま弾く三味線は新内流しのような端唄でした。要するに激しい津軽三味線とは大きく異なります。しかし、歩道を歩いていてもその三味線の音はハッキリ聞き取る事が出来ました。要するに生の音なのです。生の音は素晴らしいです。

 このEXP-Ⅱはあくまでも試作品です。最終的には皆様の手の届く価格帯の品物と高級バージョンとをラインナップする予定です。
 写真はあくまでも試作品です。とは申せ製品もほとんどこのスタイルになると思います。

 
2017/7/6
 ボーカルソフトに関しては次回に譲る事にして今回は “EXP-Ⅱ” 完成についてです。
 このエキスパンダーで私の試作はかつての物まで含めて4台目です。最初の “音乃翔” は確かに有効な効果ある機器だったと思います。では、何故こんなにまでこだわるのか?

 不満があるからです。人は満足してしまったらそれでおしまいです。不満があるからこそ次なる挑戦に挑む事が出来ます。何度も言うようですが私は “コンプレッサーで激しさを削られ、去勢された家畜のような音は聞きたくない” なのです。本来音楽は開放的であるべきです。スピーカーシステムも同じです。そんな理由で私の4セットのスピーカーシステムは全て後面開放型なのです。何せ後面開放型は開放的な音を奏でてくれます。

 とは申せ世の中に “完璧” なんて物はありません。そんな事で都議会も国会もゆらいでおりますね。国会の場合は単に現政権を引き摺り下ろしたいだけの野党の悲しい悲しい仕草だけの話で余りにも情けないだけの国会ですね。悔しかったらそれだけの実力を身に付けるべきだと私は思いますけどね。

 都議会は私に言わせれば “臭い物には蓋” で何も地下水を使う訳ではありませんので見て見ない振りをしてしまえばいずれそんな事は遠い遠い昔の笑い話になってしまうと思うのですが? 少々多少大分いい加減ですかね?

 ってな理由でこのエキスパンダーも完璧ではありません。完璧なんて物は世の中にありませんのでね。但し、一度握り潰した大福もちは決して元には戻らないのと同じでCDに録音された音も完璧に元には戻りません。しかし、一度握り潰した大福もちと違ってかなり原音には近付きます。

 次回はダイナミックレンジが元々狭いボーカルソフトについてです。
 久々にジェリー・マリガンが奏でるバリトンサックスを聞きました。

 このCDはここ何年も聞きませんでした。何せバリトンサックスの奏でる音に不満があったからです。更にジェリー・マリガンが奏でる抑揚感を試したかったからです。

 かなり古い録音ですが楽しく聞けました。エキスパンダー効果です。しかし、やはりジム・ホールのギターは頂けませんね。何故あれ程までに高域を落としてしまうのでしょうね? まァ 電気楽器だから許しましょうかね。

 このエキスパンダーは我がスピーシステム4種類の内昔々のマグナボックスを除いて全てで試しました。でっ 結果は?

 やはりメインシステムは各楽器の激しさ・鋭さを感じさせてくれました。やはり優秀なユニットは優秀な音を再生してくれるようです。

 サブシステムのミッド JBL LE8T のシステムは LE8T の反応の遅さを暴露してしまいます。やはりサブシステムは BGM 用である事を再認識せざるを得ませんでした。

 ダイアトーン P-610A はやはり16cmユニットだけあって中音域の反応は良いようです。但し、やはりそこは16cmユニットのはかなさを感じざるを得ません。聞いていて少々可愛そうです。
 写真は試作品を作るための試作品の試作品です。よって、実際の製品とは当然回路もスタイルも異なります。しかし、この試作品の試作品が再生する音は製品とほぼ同等です。ともかく迫力抜群です。

 とは申せやはりスピーカーから出る音ではあります。それは仕方がありません。何せオーディオ機器の中で最も完成度の低いスピーカーですからね!

 先日も申し上げましたがエキスパンダー効果発生素子はやはり LED+cds しか無いようです。出来れば逆対数動作の素子があれば全ては解決してしまうのですが、そのような素子は存在しませんので仕方がありません。直流動作であれば逆対数動作回路はありますが、どう改造しても交流回路には使えません。諦めるしかありませんでした。
 いやいや、大変でした。

 エキスパンダーに関してはその発想から早20年です。何せCDの平たく奥行き感の欠落したつまらない音に飽き飽きして、それならばと思い数年前には再度レコード再生に戻ってしまった私でした。

 レコードはCDに較べて更に平たく奥行き感の欠落した音ではあります。しかし、何故か耳に優しい音に魅力を見出したからです。

 レコードの奏でる音は確かに耳当たりが優しく癒される音だと思います。しかし。やはり不満は不満として残ります。何故なら私はアコースティック楽器の発する激しく鋭い音がどうしても私の部屋で聞きたかったからです。

 とは申せリチャード・クレーダーマンのような “奥様・お子ちゃま音楽” は聞きたくありません。厳しく激しく鋭い楽器の音が聞きたかったのです。

 特に鍵盤を右手で叩きつける激しいく厳しい音を私の部屋で聞きたかったのです。
←エキスパンダー効果発生素子
2017/6/18
 EXP(エキスパンダー)-Ⅱの試作品の試作品が出来上がりました。
2017/6/16
 さてさて、ノイズの問題です。

 以前の “音乃翔” の場合は使用した素子(cds)の反応速度が適当に遅かった事が起因して録音時のダイアフラムのオーバーシュートによるノイズは目立ちませんでした。しかし、その分高域の激しいタッチの音に対しては少々効果は希薄な問題もありました。

 しかし、今度の作品に使った素子(同じくcds)は反応速度が速いのです。すると上述のノイズがそのまま再生されてしまいます。これは大問題です。まさか比較的新しい録音のみに使って下さいとは言えません。そこで考えました。その方法はエフェクターを通った音にのみハイカットフィルターを入れようとする解決策です。

 早速試してみました。で、結果は?

 大成功でした。私はエキスパンダーの効果を確認するのにブルー・ベックの “テイク ファイブ” を使います。以前の “音乃翔” の場合はキックの音が生々しく存在感抜群の効果がありました。しかし、今回の物は何とトランペットにも反応して生き生きして、更に伸び伸びとしたトランペットが味わえました。あんな古い録音でもいっぱしの音に大変身致しました。

 録音に使うマイクは各楽器により色々と使い分けます。すると当然オーバーシュートの周波数にも差が出ている筈です。そこで効果音に掛けるハイカットフィルターの周波数も可変式にする必要があります。その周波数は5段階にする予定です。

 現在私の部屋では試作品の試作品が鳴っております。本当の試作品が出来上がるのはそれ程時間は掛からないと思います。親しいお方に是非とも聞いて頂きたいと考えております。乞うご期待!
 彼女はアコースティック楽器にこだわがあるようで全てアコースティック楽器です。ドラムスの音も素晴らしいです。ウッドベースも本来の音楽を奏でてくれています。近年の楽器を使わずに全てPC音源の楽曲とは大違いです。皆様に是非とも聞いて頂きたいと思っております。

 少々長くなりましたので次回に続きます。
 これは最近の録音ですのでマイクは当然コンデンサー型だと思います。ピアノの音を録るには多くの場合に AKG 414 を2本使って録ります。中にはノイマン 87 を使うエンジニアーも居るようですがいずれにせよコンデンサー型ですのでダイアフラムの質量は最小です。すると当然オーバーシュートも最小です。では、結果は?

 正に想像した通りの音です。オーバーシュートによるノイズは全く聞き取れませんでした。それどころかエキスパンダーを聞かせて聞くと右手が激しく叩く鋭い音が何とも快楽感を感じさせてくれます。素晴らしいです。
 余りメジャーではありませんがとっても好感の持てる一枚なんです。彼女の弾くピアノはコンプレッサーが掛かっていなければ素晴らしいダイナミックな音のピアノなんです。福井ともみで検索しますとH・Pにヒットします。興味のあるお方はH・Pで直接購入出来ます。
 オーバーシュートとは右に示した破線のような状態で現れます。これは明らかにノイズです。基本の波形が鋭いと更に大きなオーバーシュートが現れます。その証拠に多くのギターリストが憧れたジム・ホールの弾くギターには現れません。理由はジム・ホールはギターアンプの高域を落としてソフトに聞こえるように音を調整していたからです。

 しかし、そのような調整が出来ないピアノでは激しくノイズが発生します。しかし、普通の再生ではそれが目立ちません。原因は恐らくコンプレッサーだと私は思います。

 そこで私は音楽・録音共に優秀だと思っている一枚を掛けてみました。
 前置きが長くなりました。うるさい音の原因にについてです。それは録音機材にあったようなんです。

 当時のマイクは当然ダイナミック型です。構造はダイナミックスピーカーと同じです。ダイアフラムにコイルを貼り付けた構造です。当然ある程度の質量を持ちます。質量があると云う事は当然固有振動数を持ちます。その固有振動によるオーバーシュートが刺激的なノイズの原因だったと私は結論付けました。
写真は JBL2350 に上下から機械バイアスを施した様子です
 しかし、今回新たなエキスパンダーを導入しましたら過去に経験が無いうるさい音になってしまったのです。それはギターやピアノの立ち上がり部分で起こりました。これはジャズ・クラシック無関係に起こるのです。そのうるささはとてもとても耐えられる範囲の次元ではありませんでした。そこで “???・・・” なのです。

 例えば1950年から60年代はジャズの黄金期だと思っております。名演奏が沢山あります。それはジャズだけに留まらずクラシックでも同じです。

 当時はジャズではバン・ゲルダー録音が有名です。今でもバン・ゲルダー録音を褒め称えるお方も多くおります。クラシック界ではウィルキンソン録音です。

 しかし、私は彼らの録音は決して優秀だと思った事はありません。理由は何せ中音域の塊のような音だからです。
2017/6/12
 以前開発した “音乃翔” に使った素子は LED+cds のカップリング素子でした。その後色々と試作したのですが結局は LED+cds 素子に叶う物はありませんで今回もやはり基本的には同じ構造にならざるを得ませんでした。

 しかし、多少異なる事は素子の反応速度でした。以前の素子に使ったcdsの反応速度は適当な速度だったようなんです。それが起因してソフトの欠点が現れませんでした。しかし、今回使った素子は反応速度が非常に速いのです。その結果としてソフトの問題点が露骨に表れる結果となりました。

 以下はソフトの原因による問題点です。

 皆様は何度と無くジャズ喫茶に行った事があろうかと思います。私も過去何回も何軒も行きました。しかし、何処で何を聞いても皆うるさい音の店ばかりでした。よって、最近では全く行っておりません。うるさい音が嫌だからです。では何故うるさい音なのか?

 私は原因はスピーカーにあると思っておりました。多くのジャズ喫茶のスピーカーシステムはミッドに2インチホーンを使った3wayシステムですかね。するとほとんどの場合にホーンの口元の共振によるノイズがうるさい音の原因となっております。そこで私はホーンの口元に機械的なバイアスを掛けてホーン鳴きを抑えております。これによりうるさい音は相当に解決致しました。
 しかし、現実にはある一定以上の交流電圧に対して抵抗値が変化する受動素子はこの世には存在しません。その問題を何とか解決しようとするのがエキスパンダーです。

 サーミスターは確かに電圧を電力に変換して更に温度に変換すれば電圧により抵抗値は変化します。しかし、温度の場合は変化速度が余りにも遅過ぎます。よって使えません。そこで考えたのが光です。

 次回に続きます。
歪み
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本来あるべき再生特性
録音特性
リニアー特性
 リニアー特性とは我々が昔学校で習った線形数学です。要するに関数や指数を含まない直線で表せる特性です。しかし、現実には各録音媒体が入り切れません。そこで許せると思われる範囲で頭を潰して録音します。これがコンプレッサーです。要するに圧縮です。その結果当然元々の波形とは差が出ます。私はそれは明らかに歪みであると考えます。

 にも関わらずほんの僅かなアンプの歪みを云々しているのです。変ですよね。

 そこで本来あるべき再生特性で再生すればリニアー特性に戻る事になります。この程度のダイナミックレンジは現在のディバイス(能動素子)であれば全く問題はありません。要するに録音特性とは逆の特性で再生するのです。しかし、しかしなのであります。

        “世の能動素子は全てリニアー動作”

 なのであります。これを何とかしない事には解決しません。

 その為にはある一定の音声信号以上に達した時点で増幅率を上げてやればこの問題は解決します。それがダイナミックレンジの拡大です。
   
2017/6/8
 今回は前回の図を利用して本来のリニアー特性と理想的な再生特性についてにしましょう。
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 そこで元々の音の大きさに戻そうとするのがエキスパンダーです。

 エキスパンダーは私が子供の頃には既にありました。しかし、当時は当然真空管です。当時の回路はリモート管と呼ばれる増幅率可変の真空管を使いました。回路としては音声信号を整流してその電圧を利用してリモート管の増幅率に変化を与える物でした。しかし、回路的にタイミングがずれて使い物にはなりませんでした。出回っていたのは数年間程度だったと記憶しております。

 続きは次回
 録音媒体は必ず左に示した特性が付いて回ります。この上限がCDの場合は76dB(約6310倍)と云う訳です。レコードの場合は数値的に示す事は不可能なようです。その昔にテラークの1812年のキャノン砲の音がトレース出来たら優秀なプレーヤーだと言われました。しかし、あのキャノン砲は空砲ですので実際の大砲の音とはかなり差があるようです。実際の大砲の音はほとんど直流帯域のようです。

 76dBとは最小録音可能音圧に対して最大値が約6310倍の大きさまで録音可能と云う事になります。しかし、実際には上限までは使いません。何せ飛び出したら音になりませんから。そんな危険な事はしません。そこでコンプレッサーを掛けて音を圧縮します。この圧縮は一般的には-6dB程度のようです。-6dBとは76dBに対して僅か-6dBです。しかし、ここに数字のマジックがあります。-6dBとは1/1.995です。よって、6dBとは一般的に2倍、-6dBは1/2として通用しています。

 すると-6dBのレベルで録音すると云う事は録音可能最小音圧に対して最大3155倍までの音に限られる事になります。すると多くの録音が元気が無くなり去勢された家畜のような萎縮した音になってしまうのです。

 しかし、多くのオーディオマニアはその音に馴らされてしまっていますので必ずしも違和感を感じないようです。
圧縮
限界上限
試作品ですので文字は刻んでおりません。
2017/6/6     “大迫力でした”

 先ずはダイナミックレンジについて考えて見ましょう。

 ダイナミックレンジとは音の大きさの大小です。例えば自衛隊や警察のマーチングバンドが屋外で演奏すると凄い迫力です。何せ彼らは屋外ですと思い切り吹いたり叩いたりです。その彼らの演奏がそのまま録音媒体に入ってくれればそれに越した事はありません。しかし、現実としてはCDにしてもレコードにしても入り切れません。許された許容範囲があるからです。それを図示しましょう。

EXP-Ⅱ