標準特性
normal
min
max
Hz
dB
Hz
dB
10k
3k
1k
300
dBk
30
10
−18
−10
18
10
0
かつて真空管時代にはCR型フォノイコライザーはSN比に問題があり極一部の製品にのみ使用されておりました。更に、真空管式の場合はその増幅率の関係でMC型カートリッジには対応出来ませんでした。
しかし、現在は非常に優秀なリニアーICのお陰でSN比は勿論MC型カートリッジにも対応可能となり製作側もユーザー側も選択肢が大変に広がったと思います。
優秀なNF型フォノイコライザーの音質は勿論優秀な音質です。しかし、CR型フォノイコライザーの素直で滑らかな音もこれはこれで存在価値のある物であると思います。
オーディオ業界は何故か昔の否定的見解も、更に間違った肯定的見解が未だに正しい見解として誤解されております。やはり世代交代した現在の姿を正しく観る目が必要なのだと思います。
↓
CR型イコライザーの場合は低域のターンオーバーに関してはコンデンサーの少々の誤差には余り微妙には反応しないようです。
しかし、高域のロールオフに関しては何故か非常にシビアーです。そこで個々に調整可能なように基板に小型のスタット(↓)を立て個々に正確に調整可能としてあります。
目的は勿論コンデンサーの個体差を補うためです。よって、左右で微妙に値の異なるコンデンサーが入る場合があります。
写真の茶色の四角の部品は精密抵抗です。非常に正確な値を示します。更に何故か力強い音に聞えます。
増幅率は 35〜61dB までの可変ですので MM・MC両用です。
負荷抵抗は 1〜101kΩの可変です。MCカートリッジの場合は多くの物が1kHz程度でバランスの取れたまとまった音質で再生するようです。
MMカートリッジ(或いはそれに順ずるカートリッジ)の場合は数十のkΩ以上で多くのカートリッジがまとまったバランスの取れた音質で再生するようです。
右のツマミは入力の切替です。3本のアームまで対応させております。
RIAA特性は下は30Hz、上は15kHzまでの範囲で指定されております。理由は説明されておりませんが30Hz以下の周波数は不要と判断したのだと推測します。
高域に関してはレコードの場合は15kHz以上は実際には録音されていなかったのでは? と思います。
CRH
変化の起点周波数は100Hzです。
よって、人の声には全く影響を与えません。当然一般的な楽器にも影響は与えません。しかし、曲目によっては巨大なゴングなど超低音を含むソフトには見事に反応します。楽器の大きさを感じさせてくれる音で鳴ってくれます。
この調整は左のツマミで行います。勿論ノーマルポイントで正確なRIAA特性になります。
但し小型のスピーカーシステムですと単にコーン紙が前後に振れるだけで音には繁栄しませんのでご注意下さい。
しかし、ものは考えようでこれに調整回路を備えればある程度自由自在になります。そこで調整回路を設けてみました。その調整範囲は右のグラフです。
しかし、面白い事が起こりました。イコライザー特性は最低音は上昇を押さえるのが正しい特性である訳です。確かにかつてのCR型にも最低域上昇を押さえるための抵抗は入っています。しかし、実際には押さえ切れていないのです。実際にはいくらでも上がってしまうのです。これはハウリングの原因を引き起こします。
この原因はかつての機器の性能に大きく影響していたのではないかと考えます。要するに低域がいくら上昇しても再生されなかった為に問題にはならなかったのでは?
或いはあえて上昇させて低域の不足を補っていたとも考えられます。
しかし、そのままの特性では現在は許されません。現に当方のシステムで聞くと明らかに最低域の出過ぎでした。
CR型フォノイコライザーは何種類があったようです。本機はその中で最も一般的に使われていたと思われる定数で再現した物です。
CR型フォノイコライザーはNF型と比較して定数の誤差が結果に大きく影響するようです。そこで比較的ラフな値である程度正確な特性を示すNF型が主流になったのではないかと推測します。
これを逆に考えてみますとその分正確なRIAAカーブが得られると考えます。
当方の古い書籍にかつてのフォノイコライザー回路がありましたので再現してみました。