2チャンネルマルチシステム
2チャンネルとは云え色々な考え方があります。一つはより低い音を求めてウーハーを追加する事です。もう一つはより高い音を求めてトゥーイーターを追加する事です。その他です。先ずはウーハーを追加する場合について考えてみましょう。
ウーハーを追加する
基本となるスピーカーシステムは市販か或いは自作のスピーカーシステムでもかまいません。もし、基本となるスピーカーシステムのウーハーが20cm程の物であった場合にはウーハーとして38cm以上のサイズの物を使う事をお勧めします。この場合は必ずしも高価な物を使う必要はありません。楽器用のウーハーで充分です。理由はウーハーはコーン紙の面積が再生帯域に大きく影響するからです。要するに30cmよりも38cm、38cmよりも46cmと云う事です。
この場合、ウーハーは必ずしもエンクロージャーに入れる必要はありません。もし、場所があれば1.8メーター角程の平面バッフルをお勧めします。非常に開放的で弾むような低音が味わえます。但し、この場合はCH1のハイカット周波数はなるべく低く設定する事をお勧めします。更に既存のスピーカーシステムのローカット周波数は150~200Hz程度にすると清々しい音が味わえます。
トゥーイーターを追加する
トゥーイーターを追加する場合は高域特性の優秀なユニットを選択する必要があります。この場合は既存のスピーカーシステムのハイカット周波数は10kHz程度にします。次にCH3のローカット周波数は15~20kHzで減衰特性は-6dB/octが良いと思います。トップシンバルなどのシャープな音がハッキリと浮き立って聞えます。
通常の2チャンネルシステムにする場合
多くの人が38cmウーハーと2インチドライバーの組み合わせを考えると思います。この場合は2インチドライバーのホーンのサイズにもよりますが500Hz近辺でのクロスをお勧めします。
3チャンネルシステムにする場合
3チャンネルシステムの場合は色々な選択肢があります。先ずは私のお勧めする方法についてです。
30~38cmウーハー+16~20cmフルレンジユニット+ホーントゥーイーター
この組み合わせは私が最もお勧めする組み合わせです。この場合もウーハーは必ずしもエンクロージャーに入れる必要はありません。1~1.8メーター角程度の平面バッフルで充分です。ミッド用のユニットとトゥーイーターも同一板に取り付けて出来上がりです。
但し、この場合は低音が少々出辛くなります。そこでCH1は60~100Hz程度で、更に-6dB/octでハイカットします。
ミッドは200Hz程度で、更に-12dB/octでローカットします。ミッドのハイカットは数千Hzで、更に-12dB/octでハイカットします。
CH3は10数キロHzでローカットします。遮断特性は使うユニットにも依りますし、良く聞くソフトのジャンルにも依りますのでお好みの特性として下さい。
VF-23のCH1・CH3は+20dBの増幅作用があります。そこでミッドに対してレベルを上げる事により充分な再生帯域が確保されます。
30~38cmウーハー+2インチドライバー+ホーントゥーイーター
この場合も基本的には上述と同じです。しかし、2インチドライバーの場合は大型のホーンを装着しても200Hzまでは再生しません。そこでCH2のローカット周波数は500Hz近辺にする必要があります。更に、CH1のハイカット周波数は200Hz近辺にする必要があります。この場合はミッドにフルレンジユニットを使った時のような低音は期待出来ません。よって、この場合はウーハーはバスレフ式エンクロージャーに入れる事をお勧めします。
パワーアンプについて
マルチチャンネルシステムの場合は決してハイパワーアンプは必要ありません。使用するユニットにも依りますがウーハー用で50ワット程度であれば充分です。ミッドに関しても10~20ワット程度で充分です。トゥーイーター用は更に小出力の物で充分です。
多くの人が “大は小を兼ねる” でハイパワーの物を選択するようですが、それはお金の無駄遣いでもありますし、かえってその弊害も出ます。
その弊害とはノイズの問題です。マルチチャンネルシステムの場合はパワーアンプとスピーカーがネットワークを介さず直接繋がります。するとネットワークでマスクされていたノイズがそのまま現れてしまいます。
特にミッドとハイは顕著に現れます。そこで同じ出力のパワーアンプであればなるべくSN比の良い物を選択する必要があります。
ここでSN比に関するワンポイントアドバイスです。SN比とはそのパワーアンプの最大出力に対するノイズの比です。すると同じSN比のパワーアンプであれば出力の小さい物の方が実質的なSN比は良好である事がご理解頂けると思います。
システムの構成方法は以上です。マルチチャンネルシステムはネットワークシステムとは次元の異なる非常にハイレベルな再生音が出せる事が特徴です。
更に、2・3チャンネルの場合はレベル調整も多チャンネルシステムほど難しくはありません。音楽を聴き慣れた人であれば誰でも簡単に調整出来ます。是非とも貴方のお好みの音に調整して音楽をお楽しみ下さい。
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