しかし、それでもまだ出力インピーダンスが高いのでパワー回路には使えません。そこで考えたされたのが SEPP(シングル エンデッド プッシュプル)回路です。この SEPP は真空管の場合はプレートが押してカソードで引っ張る働きをします。この場合に真空管の場合は位相合わせをしなければなりません。当然位相反転回路が必要となります。更にプレートとカソードでは出力電圧が異なりますのでその分送り込む音声信号のバランスを崩す回路方式を採る必要があり少々厄介な回路となってしまいます。

 その点トランジスターの場合は同じ動作で正反対の動作をする物があります。それがコンプリメンタリーと呼ばれるペアーです。そのペアーで SEPP を組みますと位相反転は必要ありません。するとアンバランス音声信号でプッシュプル回路が構成されます。

 ここが実際には大変に重要な事なのです。要するにアンバランス信号でプッシュプル出力回路が構成されると云う事です。にも関わらずオーディオマニアの中には何故かバランス伝送を好み、更にバランス伝送は音が良いし、更に力強い音がすると言う人が居ます。ね、以上の説明でバランス伝送は全く意味が無い事がお解かりになったと思います。

 話が横道に反れました。

 出力インピーダンスとは弱電回路、特にオーディオ回路では非常に大切な項目なんです。要するにインピーダンスが低い音声信号は受ける側の入力インピーダンスも少々低くても受け止められる事を意味しているのです。しかし、出力インピーダンスの高い信号の場合は受け取る側もそれなりに丈夫(高い)な事が要求されます。これが不整合の場合がインピーダンスのミスマッチとなります。

 次回はインピーダンスのミスマッチについてにしましょう。

 今年も多くのお客様に大変にお世話になり無事に一年を終える事が出来ました。お礼を申し上げます。

「ありがとうございました。」

 皆様もどうぞ善いお年をお迎え下さい。
 トランジスターの場合はプレートに当たる物をコレクターと呼びます。グリッドに当たる物をベースと呼び、カソードに当たる物はエミッターと呼びます。要するにコレクターフォロアー回路の場合はトランジスターの内部抵抗が出力インピーダンスに大きく影響を与えると云う事です。

 そこで出力インピーダンスを下げる為に真空管の場合はカソードフォロアー回路とし、トランジスターの場合はエミッターフォロアー回路としました。理由は例えば真空管の場合はグリッドとカソード間の抵抗値が非常に低いので出力インピーダンスも低く出来ると云う事です。それはトランジスターでも同じでエミッターフォロアー回路がそれに相当します。

 皆様も重い荷物を持って歩いている時に押されたり蹴飛ばされたりしたらよろけますよね。それが弱電回路の場合はノイズとして現れます。要するに外乱により大きく影響を受けるのです。そこで信号回路を少々長く伸ばす場合はシールド線を使ってアース電位で外乱を少しでも減らそうとするのです。

 これは真空管に限らずトランジスターでも同じです。
 これが出力インピーダンスとなります。よって、プレートフォロアー出力の回路は出力インピーダンスが高いと云う事になるのです。するとこの回路で出力信号は思い荷物を担いで次のステージに送り込む事になります。それでは重い荷物を担いで進むと云う事は何を意味するか?
R2
C
 R3 はディバイス Q の負荷抵抗です。その時にグリッドに音声信号が与えられたとします。するとカソードから放出された自由電子はグリッドに与えられた音声信号により変動します。すると B電圧 により R2 と R3 の比率によりプレート電圧も変動します。それを直流をコンデンサー C により遮断して交流成分のみ取り出します。それが真空管の増幅作用です。

 さてこの時に取り出された音声信号には下に示したように目には見えない抵抗成分が乗っています。
Q
 左は一般的なプレートフォロアー出力回路です。この回路でプレートフォロアー回路の出力インピーダンスを説明したいと思います。

 R1 は前段の負荷抵抗と同時にディバイスである Q のグリッドを ゼロ電圧 に保つ働きをします。例えば入力信号がゼロの時は R1 には電流は流れません。すると電位差は発生しません。するとアース電位と Q のグリッドは同電位です。この状態をイマジナリーアースと呼びます。

 R2 は抵抗のシンボルマークはありませんが内部抵抗が存在します。要するにプレートに与えられた B電圧 により加熱されたカソードから放出される自由電子を引っ張り上げる動作をしています。それを抑制しているのがグリッドです。

R3
R2
R1
2018/大晦日
 いよいよ今年の最終日です。最終日に少々厄介な内容です。それは出力インピーダンスと云う見えない抵抗値についてです。
 ここで言うミスマッチングとは当然インピーダンスの不整合です。この状態に陥りますとフニャフニャな音として現れます。すると多くのオーディオマニアはプリアンプに責任を負わせたり、パワーアンプに責任を負わせたりします。しかし、実際にはそのような組み合わせで使った 「責任はアナタよ !」 なのであります。

 オーディオシステムは多くのお方が一つ一つの機器を別々に考えます。しかし、実際にはシステム全体のバランスが最も大切なんです。これを忘れますと多くの皆様の究極の答えとして 「何も足さない、何も引かない」 なんて安易な答えに至る結果となります。何を言いたいかと申しますと 「何か入れた事によりそこにはインピーダンスの不整合があったのだ」 なんです。要するに音声信号供給側に対してその信号を受ける側の入力インピーダンスが低かった事による弊害が発生していたと云う事なんです。すると多くのお方が機器に責任を負わせてしまっていたのです。その結果何も入れない事により満足出来ない音で我慢して音楽を聞く結果となってしまうのです。

 オーディオとはあくまでも趣味や道楽である訳です。それを満足の行かない音で我慢して聞く必要など全くありません。満足して満足の行く音で聞くべきです。その為にはそれなりの知識も必要です。何も勉強しないで、更に勉強する事を拒否する事は進歩を否定捨ている事と同じです。それは人の三大欲である 「食欲・権威欲・知識欲」 の三つ目に目を背けている事に他なりません。ここで久しぶりに

 「こだわりと思い込みは全ての可能性を拒絶する」 

 だと思います。

 次回は少々難解な出力インピーダンスについてです。
 トランジスターの場合は入力信号から電流をベースに流し込む(或いは流し出す)事により動作します。すると当然そこには抵抗値(インピーダンス)が生じます。それが一般的には数十キロオームなのです。これは逃れようの無い内容です。

 これがトランジスター開発当初ではどうにも解決策はありませんでした。その典型的な姿がマランツ7Tでした。マランツ7Tの場合はその弊害から逃れる為にエミッターフォロアー出力にしていました。これは真空管式の場合のカソードフォロアーと同じ発想なんです。

 以上のお話は少々難しい内容ではありますが、これ以上に簡単には説明のしようがありません。ご容赦願います。

 以上の説明から有名だからと言って昔の真空管式著名プリアンプと近年の優秀トランジスター式パワーアンプの組み合わせは基本的にはミスマッチングを起こすと考えて間違いありません。
 さてさて、そんな話はさて置いて真空管による入力インピーダンスです。真空管のグリッドは当然真空管中に置かれております。するとその抵抗値は無限大です。そこに R で接地した抵抗で入力回路を形成します。当然入力インピーダンスは R の値です。これが昔の真空管式アンプの場合は500kΩから1MΩだったのです。理由は例え安価なアンプのプレートフォロアー出力アンプであっても問題なく正常動作となるようにする為です。

 しかし、トランジスター時代となり、そうは行かなくなってしまいました。
R
 左は極々普通の真空管による入力回路です。真空管の内部は当然真空です。しかし、この真空が理解不能な内容なのではあります。例えば私は学生時代に真空空間に於ける二硫化モリブデンの潤滑特性についての卒論でした。その際に約30cm四方の真空室を百万分の一気圧まで真空度を上げるのに約2時間掛かりました。さて、そこで真空管とは言え例えばST管やGT管の場合はガラス管の下から空気を抜きます。MT管の場合は頂上から空気を抜きます。しかし、そんな小さな穴からはそれ程の真空管度まで引けない筈なんです。すると真空とは言えそれ程の真空度では無い事が推測されます。

 更に一般の金属は真空状態に置き、更に金属を加熱すると内部に存在する不純物が染み出して来るのです。すると例えば某国製の真空管のように電極保持材とガラス管との接触点に茶色に変色する結果となるのだと思います。あの茶色の物質は恐らく質の悪い金属の証だと思っております。

 すると使用時間と共に内部の真空度も落ちる筈です。当然それと共に真空管自体の性能も落ちて当然です。そんな事もあり私は少なくとも某国製の真空管ではアンプを作りたくないのです。
2018/12/27
 先ずは比較的理解し易い入力インピーダンスからです。
 真空管式機器の場合は出力回路として最も簡単なプレートフォロアー回路とわざわざカソードから出力を取り出したカソードフォロアー回路と二種類があります。更にパワー回路としてはSEPP(シングル エンディット プッシュプル)回路などがあります。では、その必要性は?

 これは何も真空管式に限らずトランジスター式でも条件は同じです。勿論FETでも同じです。要するにディバイス(能動素子)は全て同じ条件で動作していると云う事なんです。しかし、真空管とトランジスターとでは決定的な違いがあると云う事も理解する必要があります。FETの場合物によってその中間的な動作をするとお考え下さい。では真空管とトランジスターの決定的な動作の違いとは?

 それは真空管の場合は電圧動作素子であるのに対しトランジスターは電流動作素子であると云う事なんです。それって、何?・・・・・。電子の世界って、面白いですね。

 昔の真空管式パワーアンプの入力インピーダンスは500kオーム程度が当たり前でした。しかし、トランジスター時代になりますとその値は一桁低い値になりました。何故? 変ですね。

 その答えは 「トランジスターの場合は入力インピーダンスは高く出来ない」 からなんです。では、それで良いの? 

 その為に前段のプリアンプ側で出力インピーダンスを低くすれば問題は解決なんです。益々訳が解らないと思います。私は何も皆様を迷路に誘う気持ちはありません。それを一つ一つご理解頂きたいと思ってあえて難解な話題にしたのだとご理解下さい。とは申せやはり難解な内容ではありますので理解しようとしたお方は覚悟して取り組んで下さい。そこで先ずは比較的理解し易い入力インピーダンスについてです。

 そこで先ずは真空管の構造から考えてみたいと思います。皆様も思い浮かべて下さいね。

 長くなりましたので次回に続きます。
 左はフルレンジスピーカーの典型的な特性を示したグラフです。測定としては40Hzまでしか測定していませんが更に低い周波数まで測定して、最終的に直流まで測定したとします。するとその時の測定値はほとんど300~400Hzの値と同じになるのです。するとこのスピーカーの公称インピーダンスは16オームであると表す結果となります。要するにスピーカーの場合は単に一般的なテスターで測った値がそのスピーカーのインピーダンスとなります。

 しかし、理解不能なインピーダンスがあります。その最たる物は恐らく各機器の出力インピーダンスだと思います。そこで今回はインピーダンスとして恐らく最も難解であろうと思われる出力インピーダンスの謎について考えてみたいと思います。
2018/12/24
 クリスマスイブです。とは申せ我が国の多くのお方は無宗教ですのでキリスト教の考え方の感性は持ち合わせておりませんよね。それが最も安全なのでしょうね。例えばイスラム教の皆様は規律が厳しいですよね。しかし、その規律に違反しても法律的な罰則は伴いません。例えばイスラム教の教徒がお酒を飲んでも決して刑務所に入る事はありません。しかし、彼らは表向きにはお酒は飲んでいないと言います。私に言わせれば 「本当か ?」 なんです。

 これは裏話ですが、現実的にはイスラム教徒のお方がお酒を飲んだ話はいっぱいあります。しかし、彼らは表向きにはそのような話は一切しません。そんな事を言ったら風当たりが強く普通に暮せなくなるからでしょうね。しかし、お酒を飲んだ事を批判したそのお方も実際はお酒を飲んでいるのだと私は思います。

 例えば我が国の清酒や万国共通のワインなどは誰が飲んでも美味しいと思いますよね。当然イスラム教徒の皆様も同じ味覚をお持ちと思います。しかし、それを否定しているのです。それって、許されるのでしょうかね? 何とも納得行かない世界なのではあります。

 さてさて、そんな話は別世界のお話として今回は皆様が何とも不思議な世界のお話です。それはインピーダンスについてです。

 インピーダンスはオーディオマニアの方々は平気で使う言葉です。しかし、内容を理解しているお方はほとんど居ないと私は思っております。インピーダンスとは簡単に言えば単に抵抗値です。しかし、実際は交流に対してその周波数に対する抵抗値なんです。では、スピーカーのインピーダンスとは?

 この問いに答えられるお方はほとんど居ないと思います。例えばフルレンジスピーカーの場合は全ての帯域を扱う訳です。すると当然周波数によりボイスコイルは七変化します。するとその七変化する抵抗値に対して何処を採るの? の問題になります。変でしょ。

 
2018/12/22
 今回は音質調整可能なスピーカーシステムについてにしまょう。

 私の四つのスピーカーシステムはどれも全て音質調整可能なシステムなんです。その理由は全て素直な音作りにしているからです。その結果当方の独特なコントローラーが役立っています。しかし、市販のスピーカーシステムの中にはどうにもならない物があるのです。それは 「レディー・ガガ的スピーカーシステム」 なんです。何だ、そりゃ!

 レディー・ガガの素顔はとっても良いお顔だと思います。勿論スッピン女性はほとんど居ませんので薄化粧のレディー・ガガです。とは申せレディー・カ゜ガとしてはの話しなんですがね。

 レディー・ガガはステージに立つ時の化粧は 「これでもか !」 の正にこの世の物(者)とは思えない極端な化粧です。しかし、私はそれで良いのだと思います。何故なら芸能人だからです。芸能人も最近はプライバシーがどうのこうのと言います。しかし、私はそれは間違いだと思っております。何故なら芸能人は芸能人になったその時から個人の存在は無くなったと言えるからです。もし、それでもプライバシーを重んじるなら舞台以外の場所では本人と判らないように振舞うべきだと思うからです。

 さて、近年のスピーカーシステムです。余りにも厚化粧の物が多いと思います。特にAV用のトールボーイスタイルの物です。低音と思しき妙なボン付いた音、キレの悪い中音、抜けの悪い高音です。あれはHI・FIではありません。LOW・FIです。

 HI・FIとは基本に忠実と云う意味です。何なんですかね、あれは ? あれは元々AV用で、AVの場合は音よりも映像に気が取られ音には余り意識は行きません。するとAVの場合はあれで許されるのだと思います。しかし、ピュアオーディオの場合は音が主役です。あれでは許されません。

 そのようなスピーカーシステムで音楽をお聞きのお方はあれで我慢して聞くしか策はありません。要するに目の周りを真っ黒に塗りたくって、更に付けまつげを何枚もくっ付けた顔ではそれ以上化粧の施しようが無いと云う事です。そのお顔(音)が好きなお方はそれで聞いていても良いとは思いますがね !

 私の作る色々なコントローラーはそのような物に使うための物ではありません。あくまでも素直な音、スッピンな音のスピーカーシステムの為のコントローラーです。スッピンの場合は自分の好む音に加工する事が可能です。例えば小型の極々自然な音を発するスピーカーシステムなどには最適です。勿論大型の物は元々相当な能力を有しております。すると大型で素直な音のスピーカーシステムの場合はその持っている能力の全てを搾り出す為のコントローラーです。

 例えば私が使っているダイアトーンP-610A(改)の平面バッフルシステムはあれ程素直な音のシステムは無いと思います。或いは JBL LE8T の場合はダイアトーン程に中音の素直さは無いと思いますが何ともしっとりとした実に素晴らしいスピーカーだと思っております。だから私はこの二種は最も優秀なユニットであると確信しているのです。とは申せ私も世界の全てのスピーカーを知ってる訳ではありませんのでもっともっと優秀なユニットがあるかも知れません。それを探し出すのも楽しい事かも知れません。

 この二種は汎用品としては価格も適当だと思います。近年の馬鹿みたいな価格ではありません。しかし、両者もそれ以外のユニットも箱に入れてしまうと素直さが剥ぎ取られてしまいます。要するに箱鳴りの音になってしまうと云う事です。やはりスピーカーは自由空間に置いて、自由に動かしてやる事により自然な音を発するのです。しかし、その場合はある程度のサイズの板に取り付ける必要があります。それは部屋のスペース的な意味で無理な事は重々解っております。それを何とか工夫する事もオーディオマニアとしては楽しい事なのではと思っております。

 今回のテーマは目の周り真っ黒、まつ毛数枚の超厚化粧のスピーカーシステムはどうにもこうにもコントロールの方法が無いと云う内容でした !
 これら三枚は実は以前レコード再生を止めた時に全てのレコードと共に親しい友人に差し上げてしまいました。その後再度レコード再生を始めた時に探し回って見付けた物です。中にはアフリカの民族音楽もありましだが流石にそれは探しませんでしたね。

 この手のレコードは中古市場にまだまだ豊富にあります。恐らく買っては手放し、買っては手放しで何人もの手を経ていると思います。しかし、私は今後とも手放さないと思います。最終的には恐らく私が逝った時に粗大ごみになるであろうと思っております。

 次回のお題はどうしましょ !
 シタールの北インドに対して南インドのヴィーナだそうです。ここがまたまた不思議な事があります。弦楽器の発祥は中東地区ですよね。それがヨーロッパに伝わりバイオリンになったりチェロになった訳ですね。

 東に伝わって途中中国で色々な姿になり、最終の地は我が国で、その果てが津軽の太棹だと理解しております。要するに伝わるにつれ洗練されていってるのです。

 しかし、インドの場合は最初に伝わった来たのシタールは洗練された音なんです。しかし、更に伝わった南のヴィーナの音は何ともバタ臭い音なんです。私は何故かこのバタ臭いヴィーナの放つ物悲しい音が魅力的に聞こえるのです。

 写真のナゲシュワラ・ラオはその後アメリカのバークレー音楽院に招かれ教授として勤務していたそうです。十数年前に天に召されたそうですが故郷のインドでか? 或いはアメリカでそのまま逝ったのかは? 私は知りません。
 ご存知インドのシタールです。

 シタールと言えばラヴィ・シャンカールが有名です。しかし、私は彼の演奏は好みません。何故か東洋らしさが感じられないのです。その点カリヤニ・ロイが演奏するシタールは何故か東洋らしさを感じ取れて好感が持てます。

 彼女はラヴィ・シャンカールと同じ年代のお方ですが彼女は古来の演奏法を守る事に徹したようです。

 私はこの一枚しか持っておりませんが年に一度程度聴くこの演奏が何故か私の心を揺さぶるのです。とっても幻想的なんです。更に、演奏途中で突然とひっぱたくタンブーラ(インドの太鼓)もこれまた心地よいのです。

 ビートルズのジョージ・ハリソンがインド音楽に魅せられ仲間のポール・マッカトニーの顰蹙をかいました。マッカートニーにすると独特な音階がいまいましく聞こえたとか? 西洋人にとっては彼らには無い独特な音階に違和感を感じたのだと思います。その点私は我が国の音楽に違和感を感じないない事に異様さを感じる事があります。

 それは明治維新まで我が国の音楽は基本的には五音階だったそうです。それも各地方々々により、更に曲により音階が違ったとか? しかし、明治維新と共に一気に西洋音楽の基本の七音階に移行したのです。更に、その事に違和感を感じなった事にも驚きなのです。

 日本人は順応性に優れているのだと私は思っております。
 山本邦山氏の作の 「竹の組曲」 です。

 尺八の世界に限らず我が国の古来からの文化に関する事は何とも封建的な世界のようで、以前も踊りの世界で殺人まで犯したお方が居りました。極々近年でも名取の問題で未だもめている状態ですね。尺八の世界も同じでカースト制のようなかたくなゝ制度のようなものが存在するそうです。

 今回ご紹介する山本邦山氏(以後彼と呼びます)はその世界では下の階級に属しているそうなんです。尺八の世界ではその階級により演奏出来る内容までも決められているそうなんです。それに反抗した彼は 「だったら無関係の物なら良いだろう」 で最初に出したレコードは尺八が奏でるテーク5でした。これは恐らく皆様も聴いた事はあるだろうと思います。私はあまり好感はもちませんでしたがね。

 その後自ら作曲した 「銀界」 を出しました。確かB面は 「竜安寺の石庭」 だったように記憶しております。

 この 「竹の組曲」 は私の記憶では最後の作品だと記憶しております。私にはとっても心地よく響くメロディーなんです。更に録音も大変に良いのです。オーディオ界では異端児だった長岡氏も絶賛した一枚です。
2018/12/14
 今回は前回の続きのような内容です。それはオーディマニアの皆様にとっては突飛な私の愛聴盤の紹介です。
 この手のスピーカーはコーン紙が軽い分オーバーシュートの発生が少ないのです。するとモヤモヤした音も抑えられて、結果として軽快な音として聞こえます。要するに近年のスピーカーとは逆の動作をしていると云う事になります。すると 「ひょっとして CRO と相性が良いかも?」 で、今回の試聴はマグナボックスにしたと云う訳です。

 さてさて、最初は昨日も使った森繁久弥です。一曲目はこれまた有名な 「船頭小唄」 です。再生される音は多くのオーディオマニアが好む豪華な音ではありません。私が期待した以上の清々しい音です。要するに等身大の唇の音です。私に言わせれば 「これぞ本当の HI-FI」 なんです。各楽器のこまかな音までキッチリと再生しています。

 次は何と吉永小百合と橋幸夫、和田弘とマヒナスターズその他とのベスト盤です。50年ほど前からの録音です。勿論音質的には期待していません。当時の録音は恐らくマイクの影響だと思うのですが低音が不足しています。CRO はそれらもそのまま正確に再生しているようです。要するに CRO は飾らない音で再生すると云う事だと思います。

 しかし、流石に我が国の当時の録音は誉められません。録音機器は勿論モニタースピーカーにも大きく影響を受けていると思える音なんです。平たく言えば当時の5球スーパーラジオの延長線上の音と言ったらある程度のお歳のお方には解ってもらえるのではないか? なんです。しかし、この鳴り方は私の装置であればゆったりとした落ち着いた音に加工は可能です。とは申せそれは CRO の試聴と云う目的から外れますのでそれは行いません。そこで元々はアメリカ録音のビング・クロスビーでは?

 ビング・クロスビーはSP時代からの方です。SPから復刻したCDもありますが流石に少々無理があります。その後のLP時代になりますと流石に大国の偉大さを感じさせる音質です。吉永小百合が若かった頃の録音とは雲泥の差です。録音音域も充分です。

 私が持っているレコードはロンドン盤のベスト盤です。勿論我が国のプレスだと思います。しかし、何故か歪み感が感じられません。ひょっとすると米国盤をそのまま我が国のジャケットに入れて販売した板いも知れません。ビング・クロスビーの喉仏の響きが素晴らしく聞こえます。ノイズもほとんどありません。しかし、やはりある程度カサカサな音である事は歪めません。そこでゆったりとした音に加工して聞いてみました。その結果は?

 全く問題ありません。現在の最新録音に引けを取りません。ここで当時の 「オリジナル録音盤使用」 について少々。

 ビートルズにしてもエルビス・プレスリーにしろ当時はオリジナル原版使用として販売されておりました。確かにオリジナル盤はオリジナル盤なんです。しかし、実際には二番落ち、三番落ちの原版だったのです。それはオリジナル原版は塩化ビニールの板を暖めて柔らかくしてレコードカッターで凹型のプレス型を作った物を急いで温度が落ちない間に金属製の凸型のプレス原版を作ります。これが本来のオリジナル原版なんです。しかし、しかしなんです。たった一枚の原版で世界中の需要には供せられません。そこで温度が下がって歪みが増えた塩ビの原版に何回も金属製の凸型を作ったのです。当然温度が下がって歪みも増えた音もそのまま凸型にコピーされます。そのような意味ではオリジナル原版は確かに間違いではありません。しかし、上述のような問題ありの原版だったのです。その証拠に我が国のアップルマークのビートルズはひどい音だったのに対し、本家本元のアップルマークの物はとっても良いだったのです。私もFM放送ではありますがオリジナル盤の音を聞いた事があります。確かにとっても良いなのです。ね、皆様政治にしろ歴史にしろ裏がありますよね。音楽の世界にも裏があるのです。

 さてさて、余談はこの程度にして次は懐かしのジョルジュ・ムスタキです。話しによるとエディッソ・ピアフの一番弟子だったとか? 当然先日の 「傷心」 も入っております。このレコードがまたまたひどい音なんです。中高域がモヤモヤな音の録音なんです。気の毒な人の一人なんです。これも MBTC でごまかして聴きました。それなりにまともな音になります。

 次はベラフォンテ・カーネギーホール・コンサートと云う優秀録音とされた一枚です。これは 「んっ !」 と言える音です。何も加工しないでそのまま聞いてもほとんど問題の無い音です。確かに優秀録音なのだと思います。それもライブ盤でです。これは素晴らしいと思います。レコードにしてもCDにしても録音技師の腕次第でここまでの差が出るのだと驚きの一枚なんです。

 久々に音を念を入れながら真面目に聞きました。私は普段は音楽を聴いていて音を聞いている訳ではありません。しかし、真剣に音を聞くに堪える音を出してくれる シュアーM44 であり新作の CRO でした。更に私が最初は自家用に音楽を音楽として楽しむ為に作った MBTC の実力を改めて感じた非常に為になる数日でした。

 風邪引きの為に少々崩していた体調も大分回復して来ました。この年末は少し真面目に仕事に励みましょうかと考えているところです。次回はなにをテーマにしましょうかね?
 バッフル板は約90cm×90cmです。当時のスピーカーはパワーアンプがひ弱な物が多かった事もありともかく能率は抜群です。理由は勿論コーン紙が軽いからです。その結果として再生する音も軽快そのものです。当然ボーカル物のソフトはとっても聞き易く、近年のスピーカーシステムと違い違和感をほとんど感じない音で鳴ってくれます。

 このスーピカーの電源は40年ほど前に当時発売された東芝のパワーパック式パワーアンプの電源なんです。このパワーパックの音はお世辞にも誉められたものではありませんで、ほとんど使わずに物置の奥に置かれていました。

 マグナボックスの電源電圧が24ボルトでしたのでそのまま使いました。このマクナボックスは恐らく当時アメリカでジュークボックスで使われていた物と思います。現在それらがヤフオクなどで高値で出品されているのだと思います。

 とりあえずコルゲーション式コーン紙です。それも何と張り合わせのコーン紙です。当然手に入れるまでは音質はあまり期待はしていませんでした。しかし、もし可能であればフルレンジで使えればと思ってはいました。しかし、実際に鳴らしてみると確かに音域は狭いものの基本的な音質はとっても軽快で耳当たりの良い晴れ晴れとした音質でした。当然 「これは行ける !」 でした。

 周波数特性を下に示します。勿論 MBTC を使って補正してあります。低音は45Hzで+1dBですので充分な結果となっております。これは実際には大変に意味のある事なのです。市販の多くのスピーカーシステムの再生帯域が20~20kHzと表示されております。しかし、何故か周波数特性まで発表しておりません。理由は発表出来ないのです。何故なら中音域に対して20Hzに至りますとほとんどの物が-20dBにまで落ち込んでいるからです。しかし、これは決して広告義務に違反している訳ではありません。ここではそこまで詳しくは申しませんが 「-20dBまでは再生しているとみなす」 の条文があるからなんです。

 さてさて、中域の少々盛り上がった特性が音楽成分を前面に押し出してくれていると思っております。要するにボーカル物として最も大切な音域です。この帯域が凹んでおりますとカサカサとした人の声になってしまいます。

 高域の落ち込みはたまたまこの時に余り補正しませんでご覧のような特性になっております。実際に聴く時はもう少々補正量を多くしてモヤった音を抑えて聴いております。

2018/12/13
 CRO の音質確認も今回が最後の予定です。

 今回は視聴用のスピーカーに私が産まれた頃の物であろうと思われるマグナボックスの30cmフルレンジのフィールド型スピーカーを使います。
 それでは森繁久弥に移りましょう。何枚か持っております。私は森繁氏は我が国に数少ないエンターテイナーだと思っております。森繁氏の録音もこれまた問題ありが多いのです。気の毒ですね。アメリカのブルースの王様のマディー・ウォーターもそうですが気の毒なミュージシャンが多いのは悲しい話だと思います。

 しかし、これまた調整次第で問題が一挙に解決します。これはひょっとすると CRO と MBTC の組み合わせのお陰かも知れません。

 ここで先日申し上げたSP用の針でLPを掛けてみましょう。

 音は出ました。針飛びもありません。しかし、やはり無理があるようです。妙に歪っぽい音なのです。原因は恐らく音溝の相当に上部をトレースしているからだと思います。やはりLP盤はLP用の針を使う必要があるようです。

 続きは次回
 やはり問題ありの録音の場合は何らかの調整を行いませんと音楽が楽しく聴けません。とかくオーディオマニアは音楽を聴くのでは無く音を聞いている方が多いのだと思います。それはそれで私は良いのだと思います。何せオーディオマニアなのですからね。

 ところで加藤登紀子が歌う知床旅情なのですが、実は彼女は歌詞を間違っているのです。何処とは詳しくは申しませんが森繁久弥に指摘され気が付いたそうです。しかし、既にレコードは発売されておりました。その後再録音はされなかったようで、その後のCDでも同じ録音の物が使われております。
 次に乗せた板は加藤登紀子のベスト盤です。当然一曲ずつ音が違います。二曲目の一人寝の子守唄は確か彼女のデビュー曲だったと思います。当然40年以上の録音だと思います。やはり少々高域の抜けに問題があります。やけに高域が歪っぽく聞こえるのです。しかし、負荷抵抗を16kΩにすると何故か歪っぽさが減少します。

 カートリッジと増幅率、更に負荷抵抗には密接な関係があるようです。と、申しますのは私は普段はそれほど神経質な聞き方はしません。何を聞いているかと申しますとやはり私は基本的には音楽マニアです。すると音その物よりは音楽を聴いているのです。やはり音楽は楽しいですからね。

 このベスト盤を録音した当時は既にそれなりの録音機器は相当なレベルまで達していました。何せビートルズがノイマンの76で録音していた頃です。かの有名な真空管のEL-156を有名にした調整卓です。調整卓と申したのは76は確かレコードカッター用のパワーアンプまで含めた型番だったと記憶しております。では、我が国では? 恐らくビクターやソニーがそれなりの録音機器を持っていたと思います。すると私の思いますにマイクによる音質の違いが最終的な音に相当に影響していたのでは? と思います。

 次はジョルジュ・ムスタキの歌で大ヒットさせた 「傷心」 です。この編曲はオリジナルを意識した演奏です。問題はギターの音です。妙にキンキンとした音で何故かマンドリンの音を連想させる音なのです。これも恐らくマイクの関係だと思います。しかし、当時は既にAKGの44はあった筈です。するとひょっとして最終的なトラックダウンの時のエンジニアーの音の好みだったのかも知れません。その辺の事も連想しながら聞いてみるのも楽しい聞き方なのでしょうね。

 私は近年のミュージシャンの曲はほとんど聴きません。何故ならそれらはメロディーが感じられないからです。すると聴く曲はほとんど古い曲ばかりになってしまいます。クラシックも特定の曲しか聴きません。何故なら長いし、更にメロディーを感じさせてくれる曲が限られているからです。ジャズもその条件に適合します。すると古い曲か、或いは叙情歌になってしまいます。

 さてさて、森繁久弥で有名な知床旅情が始まりました。この録音はこれまた少々問題ありの録音なんです。何せ高域が実に抜けの悪い録音なんです。しかし、私が数年前に自家用として作った写真の MBTC(超低高域ブースター&NF型トーンコントローラー)を駆使しますとほとんど全て解決してしまいます。
 私は普段は左に示した SPF なるレコードなら何でも掛かるフォノイコライザーを使っております。これはこれで音作りは自由自在ですのでとっても便利で使い易いフォノイコライザーなんです。

 これは正直申しまして機器の音は特にありません。何せ音作りが自由ですのでこの機械の音はありません。これと比べましてはやはり清々しさは本機の方が上のように聞こえます。源設計は恐らく60~70年前と思いますが音響機器は確かに相当に進歩しました。しかし、果たして音質的にも進歩したのだろうか? 甚だ疑問です。
2018/12/12
 未だ風邪の影響で本調子ではありません。しかし、試聴を始めませんといつまで経っても一歩も進みません。そこで BIGIN THA BIGIN です。先ずはブラザース・フォです。しかし、寒さもありこの時期はカートリッジのゴムダンパーが少々凍傷状態に陥っており最初LP片面ほどは落ち着かない音で流しておく必要があります。と、云う訳で現在ウォーミングアップ中です。

 さてさて、大分音も落ち着いて来ました。良い音です。爽やかで清々しい彼らの歌声が耳に届いております。やはり人の声が人の声らしく鳴っております。
 次回はいよいよ試聴です。試聴のソフトは主にボーカル物を使用する予定です。ボーカルを上手く再生出来ない物は失格だと私は思っております。やはり人の声が人の声らしく聞こえて当たり前です。

 例えばピアノなどを視聴用にする人も居るようですが私は少なくともピアノの生音はめったに聞きません。聞くチャンスもありません。我が家にもアッパーライトではありますがピアノがあります。しかし、私は残念ながら弾けません。以前ボケ防止にとピアノを少々習い始めたのですが、結果「ボケてもいいや !」 でした。

 よって、私はこの機器に限らず試聴にはボーカル物で行っております。次回に続きます。
 多くの人がこれらは当たり前の値に何の疑問も持たないようです。しかし、実際には各々の機器でそれぞれ違いがあり、それらに対応していない各オーディオ機器メーカーは怠慢だと思っております。
 ゲインは100倍(1kHz)の40dBに設定。負荷は一般的な47kΩに設定です。

 実はこれは各カートリッジとその他の機器(特にスピーカー)によって微妙に異なります。この設定値を探すのが楽しみの一つでもあります。
 試聴には最も一般的であり、最も素直な音のダイアトーP-610A(改造)を使う予定です。今P-610Aと思われるかも知れませんが私は最も優秀な小型スピーカーだと思っております。但し、私の物はご覧のように妙なスタイルのエッジレスに改造した物です。

 しかし、このような改造では低域では確かにコーン紙の質量が大きくなっておりオリジナルの物とは少々音質が異なる筈です。しかし、中高域ではコルゲーションの作用によりエッジレスの影響は受けない筈です。よって、全体の音への影響はほとんど無いと思っております。
 このカートリッジは元々はSP再生用にしていた物です。シュアーからはSP用の針は出ていませんがJICOでM44用にSP用の針が出ています。

 その後SPでもLP用の針で全く問題なく再生出来る事が解りSP用の針は無駄になりました。しかし、SP用の針でLPがかかるか? は不明です。今度試してみる事に致します。
 このプレーヤーは私がまだ独身時代に何方からか貰った物でその後全く使っていなかった物です。リムドライブでSP用に78回転が付いております。ただ残念なのはターンテーブルが少々小振りな25cmなんです。

 カートリッジはシュアーM44での試聴です。
2018/12/11
 さて、試聴。と、思いきや何といつものプレーヤーのターンテーブルが高回転で回り始めるではありませんか。何度も電源リセットを試みましたが駄目なんです。どうもサーボ回路の故障のようです。

 そこでメインのプレーヤーは諦めてSP用に用意してあるパイオニアの古い古い物に交換です。
2018/12/10
 風邪にやられました。何と約一週間駄目でした。とは申せまだ駄目です。

 近年はほとんど風邪は引いていませんでした。しかし、今回は何と寝込んでしまいました。鼻水は垂れるし喉は痛いし、熱まで出してしまいました。よって、新作の CRO は未だ深くは聞いておりません。

 今日辺りからいくらか良い状態になりましたので少しずつでも聴こうかと思います。
 10.000倍となりますと二段増幅の場合は一段で100倍の増幅率が必要です。一般的に使う12AX7(ECC83)の場合は理想値で100倍です。しかし、その理想値を持っている物はほとんど無いと言って間違いありません。するとフォノイコライザーでは超低域で増幅率の不足が発生してしまうのです。すると真空管式でMCカートリッジ対応の物は出来ないと云う事になってしまいます。

 すると例えば6267のような比較的SN比の良い五極管を使えば真空管式のMCカートリッジ対応のフォノイコライザーは可能であるかも知れません。これは試してみる価値はあるのでは ? と、思います。

 フォノイコライザーは比較的新しい回路であろうと古典回路であろうと回路自体は同じです。しかし、何故か定数が違います。ひょっとするとその差が本機には出ているのかも知れません。それが原因で微妙な誤差になっている可能性はあります。しかし、基本的にはターンオーバーとロールオフの基点の周波数は1kHzである筈です。何とも解せない結果なのではあります。と、申しますのはCR型にしろNF型にしろ一次の時定数の場合は1オクターブで6dBの偏差なのです。すると各部品の誤差が測定値の誤差を発生させているのかも知れません。

 次回はいよいよ皆様興味のある音質についてです。
 破線は以前某オーディオ誌で発表された特性です。その数値は左です。

 下二桁まで表示されています。RIAA特性は計算では算出出来ませんので当然実測です。しかし、単に測定器のメーターの読みでは四桁まで読めません。この数値は恐らく測定器用のアッテネーターを使用しての実測値であろうと推測します。

 本機の実測値は少々誤差は出ておりますが許される範囲であると判断出来ます。ここで超低域の比較的大きな誤差について説明します。

 標準値に対して本機の超低域はきちんと増幅しております。それは測定に使用したフォノイコ回路のディバイスにあるものと推測します。それはリニアーICの場合は増幅率は抜群です。それに対して真空管の場合は比較的低い値です。すると本来超低域では50Hzに対し18dB以上必要なのに対して17dBしか増幅しておりません。原因は実測した回路のディバイスは真空管であろうと推測出来ます。

 フォノイコライザーの場合は1kHzに対して30Hzになりますと+20dBの80dBが必要です。80dBとは10.000倍です。
50⇒+18.6
30⇒20.0
20⇒+21
10⇒21

 グラフに入らない部分を上に示します。
Hz
-
+
dB
2018/12/3
 いよいよ師走です。歳を重ねると何故か一年が短く感じます。理由は色々と言う人がおりますが、私の場合はこの歳にになり更に忙しくなっているからだと思います。何せ残り少ない人生になって来ましたのでね。

 CRO のイコライジング特性を示します。
 イコライザー特性に関しては次回です。
2018/11/30
 CR型古典回路によるフォノイコライザーが出来上がりました。

 既に測定結果は出ております。やはり予想通り電気的性能はNF型には叶いません。そこで順序は違いますが先ずは音質です。

 聞いたのは先ずはビング・クロスビーです。測定結果は決して誉められませんが音はスッキリとしたとっても良い音です。要するに人の声が人の声に近い爽やかな音だと云う事です。

 これは人の声は元々曇った声はしません。確かにこもった声の人はおりますが曇った声の人はいません。これは人の声だけに限らず各楽器も曇った音の楽器などありません。それをそれらしく鳴らしてくれるのがCR型フォノイコライザーの最大の特徴だと思います。

 CR型フォノイコライザーは忘れ去られたフォノイコでした。理由は性能の良いNF型が開発され当然そちらに集中したからです。

 その後時を経てカウンターポイントが6DJ8(6922)を使用して完全 NON.NFB回路で発売し一気に吹き返しました。しかし、結果としてどれもこれも満足の行く物がありませんで再度忘れ去られた過去があります。

 考えて見ますと元々回路的に無理のあるCR型フォノイコライザーは性能に少々問題ありの真空管式では結果として無理があったのだと思います。

 しかし、性能抜群のリニアーICの場合はNF型には及びませんが実際の使用に関しては全く問題なしのフォノイコライザーが出来ます。勿論MC型カートリッジに対応しております。その増幅率は1kHzに対して60dB(1000倍)です。

 基板をご覧頂ければ判りますがNF型の場合はリニアーIC一個で出来上がります。しかし、CR型の場合はリニアーIC2個による二段増幅回路にならざるを得ません。
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余談ですが   N0.14