出力インピーダンス
真空管式の時代は多くの機器の入力インピーダンスは最低でも100kΩはありました。中には500kΩや1MΩなんて物までありました。理由は当時の機器の多くが回路全体のインピーダンスが高かった為です。
しかし、ソリッドステート時代になり回路全体のインピーダンスは極端に低くなりました。そこでパワーアンプの入力インピーダンスもそれに連れて低くなって参りました。
そのような時代にやはりオーディオに関しては真空管は素晴らしい音質を有していると思います。しかし、昔の姿そのままで良いのか? 実際には良くないのです。真空管式とは言えやはり現在の機器に対応させて当たり前だと思います。
ノーマル出力は12AX7に依るカソードフォロアー出力そのままです。この場合には-1dBレベルで約5kΩまでの負荷に対応可能です。しかし、音質的に問題が発生します。
そのような場合に備えてローインピーダンス出力を設けました。回路としてはリニアーICに依るゲイン1のバッファーアンプです。ゲイン1(0dB)とは100パーセントのフィードバックを掛けます。フィードバックは当然ネガティブです。要するに入力信号の否定回路です。するとフィードバックを深く掛ければ掛けるほど自らの存在を否定する事になります。この事は自らの固有の音質をも否定する結果となります。すると本機の場合はローインピーダンスで聞いても真空管式本来の音質で聞ける結果となります。
本機を使用してノーマル出力で音質に少しでも曇りを感じたらインピーダンスのミスマッチがあると思って間違いありません。その場合は迷わずローインピーダンスでお使いになる事をお勧めします。
感度調整
現在はプログラムソースとして昔では考えられなかったほどに多く存在します。しかし、それらには各々問題があります。それは出力電圧がまちまちな事です。例えば一般的なCDの場合は最大平均出力電圧は約2ボルトとされております。しかし、この値は録音の状態により大きく変化します。
更に、近年の録音のようにコンプレッサーを極限まで掛けて抑揚感を失わせてしまうなんて事も当たり前に存在します。
逆にレコードの場合はカートリッジに依り出力電圧はまちまちです。
それらをたった一つのフォーマットで再生して良いものか? 良い筈がありません。
そこで本機にはゲインコントロールを設けました。その値は -20・-10・0・+10dB の4段階です。この範囲であればほとんど全てのプログラムソースの条件に合致すると思います。
※ボリュームは回し始めと回し終わりの位置で少々いい加減な数値を示します。それは例えアルプスのデテントボリュームでも同じです。よって、ボリューム位置はなるべく10時~4時の範囲で使うべきだと思います。
真空管式の芳醇にして清々しく奥深い音で音楽をお楽しみ頂ければ幸いです。
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