2015/11/27
5チャンネルマルチシステムで最も難しい内容が求められるのがローチャンネルとハイチャンネルなのです。理由はローチャンネルのウーハーもハイチャンネルのトゥーイーターも一般に思われているほど優秀な特性ではないからです。
確かに両者軸上1メーターですとそれらしい特性を示します。しかし、現実的な使用方法ですと惨憺たる特性になってしまいます。例えば著名なトゥーイーターである JBL
075 です。軸上1メーターですと確かに素晴らしい特性です。しかし、例えば7~8kHzでローカットして鳴らすとガチャガチャとした音が優先してしまい使い物にならない結果となります。JBLはそれを知ってホーン効果を極力抑えた 2405 をプロ用として発売したのです。要するに 2405 の両側のウイングはホーン効果を抑えた結果のスタイルと云う事になります。
上述は 075 だけではありません。口径の比較的大きなホーントゥーイーターは全て同じ傾向を示します。要するに一般家庭の条件で使いますと高域が吸収されて聞こえなくなってしまうと云う事ですね。ここで面白いお話です。それはセラミックトゥーイーターです。
確かにセラミックトゥーイーターは測定しますと素晴らしい結果を示します。20kHzなどへっちゃらに再生します。しかし、しかしなんです、能率が途方も無く低いのです。するとスーパートゥーイーターとしてメインシステムに追加しても能率が追い付きません。そこで某メーカーはセラミックトゥーイーターを極近傍で鳴らしてハガキで塞いだり開いたりしてお客さんに聞かせました。するとお客さんはその素晴らしさに驚いて買ってしまうのです。しかし、自宅のシステムに入れて聞くと全く聞こえないのです。そこで訴訟に至ったのです。それは?
“スピーカーは聞こえるからスピーカーなのだ。聞こえないスピーカーはスピーカーとは言えない!” の訴訟でした。残念ながらその後の判決は私は知りませんが恐らくメーカーが買い取って示談にしたのだろうと推測します。
私の場合は某オーディオショップで丸胴型のセラミックトゥーイーターを借りて我が家の測定システムで測定していた時の事です。上述のように素晴らしい測定結果でした。さて、測定が終わりトゥーイーターを触った時です。何と暖かいのです。要するに能率が悪くて熱となってエネルギーを消費してしまっていたのです。
某オーディオマニアの発言です “トゥーイーターはどれを使ってもシャカシャカと鳴るだけでどれでも一緒だ!” でした。確かにこの方の言う事は当たっているのです。原因は当たり前な使い方をしていた事なのです。要するにウーハーもトゥーイーターも当たり前な使い方をしたら満足行く結果は期待出来ないと云う事になります。
これは何もホーントゥーイーターに限らずドーム型も同じです。と、云う所で次回に続きます。
2015/11/26
ミッドハイとして無難な物はやはり1インチドライバーだと思います。要するにミッドハイ帯域は各楽器の輪郭をハッキリさせる役目を果たします。するとやはり反応の良い物が結果として優秀な音として聞こえます。しかし、余り刺激的な音は好まない方の場合には小型のコーン型ユニットの方が無難かも知れません。
さてさて、1インチドライバーのホーンです。決して大きい物は不要です。何せ再生帯域は4kHzからです。するとホーンの開口サイズとして15cmもあれば充分と云う事になります。しかし、各メーカーはこのサイズであればトゥーイーターのサイズとして販売していると思います。原因は各メーカーはPAに使われる事も視野に入れているからです。何せPAの場合は大音響です。一般家庭とは比較になりません。
ここで再度スピーカーユニットの許容最大入力について少々。例えばトゥーイーターで
7kHz -12dB 許容入力100ワット
と云う性能表があったとします。この場合は上記の内容で使った場合にそのスピーカーシステムの最大許容入力と云う事です。決してトゥーイーターの許容入力を意味しているものではありません。するとマルチチャンネルシステムで高域のパワーアンプに100ワットなんて物を使ったら事故があればトゥーイーターは破壊してしまうと云う結果となります。
しかし、実際には多くのお方が “大きい事は良い事だ!” なんて事でハイパワーアンプをお使いになるお方が多いのです。これは危険な事です。大変に危険な事です。私はミッドハイやハイチャンネルには数ワットのパワーアンプをお使いになる事をお勧めします。しかし、この場合に問題になる事があります。それはパワーアンプの入出力特性なのです。
例えば入力1ボルトで片や100ワット、片や5ワットのパワーアンプがあったとします。この場合は1ボルトの音声信号を入れると片や100ワットの出力に達するのに対して片や5ワットしか達しないのです。要するにマルチチャンネルに入れた場合にレベル調整が大変に厄介になると云う事になります。
このような結果を招かない為にはハイパワーアンプは入出力特性の悪い物を、小出力パワーアンプは入出力特性の良い物を選ぶ事が大事な要素となるのです。
ここで少々現実的なお話をしましょう。それは例えば2A3のシングルアンプで考えてみましょう。2A3はバイアス電圧45Vです。すると音声信号として約7割の31.5Vで最大出力に達します。この場合にドライバー管として12AX7に相当する増幅率100倍の物を使ったとします。するとNFBを掛けなければ約0.3Vの入力信号で最大出力の約3Wに達する事になります。私はこのような意味で真空管式パワーアンプを使った場合には2A3のシングルアンプは良い結果となると思います。しかし、現実的には5チャンネルマルチシステムとなると全て真空管式パワーアンプを使うと電力消費も大変な値となりますし、更に発熱も大変な事になります。やはり多チャンネルマルチシステムの場合はトランジスター式、それもパワーICアンプが最も適していると云う事になります。
次回はハイチャンネルについてです。
2015/11/17
大変に日を置いてしまいました。失礼しました。ミッドハイ帯域についてです。
ミッドハイ帯域についてはその帯域としてローカット周波数は4k~5kHzである事は既に申し上げました。その理由はミッド帯域のユニットが分割振動させないための策である事も既に申し上げました。問題はその周波数です。例えば4kHzで考えてみましょう。
ここでト音記号の周波数範囲を考えてみましょう。 “G線上のアリア” の G は普通に言う ソ の音です。周波数では440Hzです。近年では443Hzで演奏するそうですがここでは440Hzとします。これをオクターブで考えてみましょう。
440Hzの1オクターブ上は880Hzです。その1オクターブ上は1760Hzです。更にその1オクターブ上は3520Hzです。要するに4kHzとは ソ の音の約3オクターブ上と云う事になります。そこまで高い音で旋律を奏でる楽器などありません。ではミッドハイ帯域は何を再生するのか?
楽器はどのような楽器でも高調波を発します。更に例えば弦楽器などは顕著なのですが弦を引っかいた時の引っかき音を発します。これは決して音楽ではありませんが音楽の一部を奏でる大切な要素であると私は思っております。更に顕著なのは打楽器です。これは改めてここで説明するまでも無い事だと思います。
要するに鋭い音を再生させる役目を果たすのがミッドハイ帯域だとお考え下さい。すると当然反応の良い優秀なユニットが要求されます。このように申し上げますと皆様は当然1インチドライバーを想像すると思います。確かに1インチドライバーは選択肢の一つではあります。しかし、それだけが脳ではありません。更に1インチドライバーはミッドハイ帯域の1オクターブ下、或いはそれ以上に低い音まで再生します。私の経験では500m/m幅のホーンを付けますと約500Hzまで問題なく再生します。ここで誤解の無いように申し上げますがこの数値はあくまでも一般家庭で使った場合の話です。ホールで大音響で使う場合は別問題ですのでお気を付け下さい。
現実としては4kHzと言いますと少々大きめのトゥーイーターは充分に再生します。勿論これも一般家庭で使った場合の話ですので念のため。例えば jbl の 075 などは問題なくミッドハイとして使えます。しかし、 2405 は使えませんので念のため。
さてさて、1インチドライバーとは申せ実際に購入しようとするとある程度の出費は覚悟が必要です。そこで私のお勧めはドーム型トゥーイーターです。口径3cm程度のドームですと4~5kHzまで充分に再生します。更にその反応速度も抜群です。更に価格もそれ程ではありません。しかし、ここで問題が発生します。それはオーディオマニアとしてのプライドです。皆様それなりにプライドはお持ちだと思います。要するに知人の来訪に対するオーディオマニアとしてのプライドです。これは隠しようがありません。
そのプライドが色々な意味で色々と邪魔をします。例えばアンプにしても著名な物ばかり集めた装置の場合は音質云々よりも機器に自慢の要素が大いにあると云う事です。勿論アンプに限らずスピーカーにも当然あります。しかし、実際に聞いてみますと近年の高価で著名なスピーカーシステムの発する音に褒められた物はほとんど無いと言っても過言ではありません。要するにボワボワな低音、反応の悪い中音、伸びの無い高音です。しかし、何故か豪華な音なのです。その音にごまかされてしまうのも確かな事ではあります。では、それで良いのか?
良い訳ありません。我々マルチチャンネルマニアは本来楽器が発するスピード感のある本来の楽器の音を求めて然るべきと私は思います。
次回に続きます。
理由は現在の構成は触らない積りなのです。すると高能率なミッドホーンのレベルに合わせる必要があります。そこでゲインコントロール内臓の10ワット程度のパワーアンプを用意する必要があるのです。当然ボリュームも内臓です。さてさて、いつになる事やら!
私の二本揃ったスピーカーの残りはステントリアンのダンパーが劣化した30cmフルレンジユニットとコーン紙の無い JBL LE-8T です。これは昔のアルニコマグネットの物です。LE-8T のコーン紙は探せばいくらでもありますので問題は無いと思います。
私は若かった頃からスピーカーユニットは色々と買いました。中には当時はお金が無くて一本のみのユニットも幾つかあります。しかし、それらは使う事は無いでしょうね。或いはここのところ少々拘ってみようかと考えている SP再生 の場合に使うかも知れません。
実は先日私のオーディオの原点であるペギー・葉山の “南国土佐を後にして” の SP盤 を手に入れました。78r・p・m のターンテーブルも古い古い物が我が家にありました。残りはSP用のカートリッジを手に入れればとりあえず聞ける状態にはなります。
今更SPなど聞いても期待はしておりません。とは申せ実はSP盤はけっこう持っているのです。それらを聞く蓄音機も持っております。しかし、電気屋としてやはり電気再生で聞きたいものだと思っております。実現はひょっとたら自ら定年と考えている75歳を過ぎてからかも知れませんがね!
次回はメインルーチンに戻ってミッドハイについてです。
スポークの縦横二本では少々弱かったようです。しかし、今更どうにもなりません。とりあえず発信器で動作させてみました。結果は問題ありませんでしたので善しとしましょう。
発信器での動作では fo は50Hz近辺のようです。やはりエッジの部分がコーン紙として働きますのでコーン紙が重くなった分 fo も下がったようです。とは申せ使用目的がミッド帯域ですのでその辺の事は無関係です。
裸で聞いた範囲では2kHz近辺にピークがあるようです。ひょっとしてこれは問題が発生するかも知れません。しかし、実際の音楽信号は単一波ではありませんのでそれ程の大きな問題には成らないと期待はしております。
これをメインシステムに入れるには先ずは特殊回路を入れたパワーアンプを作る必要があります。
2015/10/27
P-610Aの改造が取り合えず出来上がりました。
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それらの音は鋭い音です。そこを優しい音のコーン型ユニットにすると音楽の激しさを失わせる事に直結します。やはりミッドハイ帯域には反応の良いユニットにすべきだと思います。その事はいずれ説明する事にして今回は改造ユニットについて少々。但し、論理的な難しい話はしません。何せ私は電気的な測定器は色々と持っておりますが音響的な測定器はあいにくと持っておりませんのでね。
ボロボロになったエッジを外すにはファインカッターで無理をせずに少しずつ少しずつ切り細裂いて行います。ファインカッターは現実的には刃は直ぐに切れ味が落ちます。よって、切れ味が悪くなったと思ったらもったいがらずに次々と刃先を捨てる事が大事です。
← はサブコーン部分になります。材料は約1m/m厚のボール紙です。以前の改造ではスポークは4本にしましたが今回は試しに2本にしました。恐らく問題は無かろうと思います。金色にしたのは意味はありません。単に金色のスプレーが安く売っていただけの話です。
加工には勿論ファインカッターです。スポークの幅は2m/mですので慎重に慎重に作業するのが肝要です。
← はサブコーンを固定するためのセンターサポーターです。材料は20φの丸棒です。ホームセンターで安く売っているあれです。これをサブコーンのセンターに糊付けしてからユニットのポールピースに接着剤で固定します。よって、サブコーンの真ん中の円形部分は直径20m/mです。
接着剤は共に自然素材の場合はやはり自然素材による接着剤が良いようです。要するにヤマト糊です。これは何も特殊な場合だけでは無く例えばスピーカーのコーン紙の補修も条件は同じです。コーン紙が切れてしまった時に多くの人は化学糊を使います。しかし、紙の補修の場合は化学糊は禁物です。何せ紙と化学糊は馴染みません。私が芸能界にデビューするようなものです。この場合は絶対に馴染みません。
センターサポーターをセンターポールに固定する接着剤は相手が鉄ですので3Mのボンドのような化学糊に限ります。この時に二種混合型接着剤にしますと何故か金属と馴染みません。多少ショックを与えますと何故か剥がれてしまいます。今回の改造もサブコーンとフレームの隙間は1m/mです。固定する時には慎重に慎重にです。ここで失敗しますと全て失敗です。
サブコーンをセンターポールに固定したら最後はコーン紙とサブコーンの接着です。最も大切な作業です。この場合は二種混合型接着剤でありませんと失敗します。必ず失敗します。理由は一般的な接着剤の場合は乾燥する事により固まります。その時に縮んでしまうからです。
この時はセンターポールとボイスコイルの間に適当な厚みの紙を入れてセンターを正確に固定しておきます。その為にコーン紙のセンターキャップは外してあるのです。
コーン紙とサブコーンの接着剤は出来れば24時間硬化型の二種混合接着剤が良いと思います。しかし、近年は何故か長時間型の接着剤は見掛けません。メーカーとしては恐らく作っていると思います。しかし、需要が少ないので店には在庫してないのだと思います。
24時間硬化型は何も24時間経ると固まるのではなく24時間経ると固まり始めるのです。その後完全に固まるにはその倍程度の時間が必要なようです。
これは何も24時間硬化型に限らず5分硬化型でも同じです。要するに二種を混ぜたら約5分で固まり始めるのです。すると5分では接着作業は終わりません。そこで失敗しない為になるべく硬化時間の長い接着剤が良いと云う事になります。
このような事を発表しますと多くのお方は “スピーカーが駄目になってしまう!” と思うでしょうね。しかし、大丈夫なんです。何故ならコルゲーションコーン紙だからです。コルゲーションコーン紙の場合は低域ではコーン紙全体が同期した動きをします。しかし、周波数が高くなりますとコルゲーションがエッジの役目を果たして分割振動を始めます。するとサブコーンの質量は無いのと同じになります。
この分割振動を始める周波数はP-610Aの場合は約5kHz近辺です。それは周波数特性が暴れを始める事で確認出来ます。しかし、それはオリジナルの場合の話です。今回の改造でコーン紙は当然重くなっております。その結果ピストモーション領域は当然低くなる事が予想されます。その辺の事は目をつぶっての改造です。すると多くのお方は “そんなの駄目に決まってるじゃん!” なんて事を言うでしょうね。
しかし、考えてみて下さい。それは多くの3チャンネル、或いは3ウェイのスピーカーシステムです。ミッドとハイのクロス周波数は多くが7~8kHzです。するとミッド帯域のユニットは当然分割振動を起こしております。更にハイユニットの fo です。多くのトゥーイーターが3~4kHzです。それを1オクターブ上の7~8kHzでローカットしても3~4kHzでは充分に音圧は落ちておりません。そこで各スピーカーシステムメーカーは変な値のネットワークを使っているのです。これで各スピーカーメーカーのネットワークは変な値のネットワークである理由が理解されたと思います。
しかし、トゥーイーターの fo なんて言っても誰もそのようなものは聞いた事は無いと思います。しかし、質量のある物は必ず固有振動数を持ちます。それの一番低い値を示すのが fo です。だから fo は最低共振周波数と言うのです。
今回の改造はいまのところまだ組み立てはしていません。組み立てが終わりましたら再度皆様にお知らせします。その時は出来れば周波数特性もお知らせしたいですね。
写真は昔々のダイアトーンP-610Aです。ウレタンエッジは当然ボロボロになっておりましたので取り外して掃除をしてあります。
改造は以前は合成鹿皮にする予定でしたがやはりエッジレスにする事にしました。
改造の目的はメインシステムのミッド帯域に使う為です。コーン型ユニットをミッドに入れる事により恐らくボーカルソフトが優しい音になるであろう?の為です。
私のシステムのミッド帯域の受け持ち周波数は400~4kHzです。すると16cmユニットの場合は分割振動はしない範囲です。よって、うるさい音にはならない筈です。
マルチチャンネルシステムは各ユニットは最良の範囲で使う事が可能です。よって、多くあるミッド帯域に多くの責任を負わせたシステムは私に言わせれば相当に無理があるのです。やはり測定上は出ているからと言ってやるべき事では無いと思います。
私はミッド帯域にはコーン型は良い結果が期待出来ると思いますが、だからと言ってミッドハイ帯域までコーン型ユニットにするのは少々無理があると思っております。何故ならミッドハイ帯域は各楽器の高調波成分を再生するし、更に弦楽器の弦と弓がこすれる激しい音を再生する帯域です。
2015/10/18 ちょっと一服
2015/10/15
コーン型によるミッド帯域ユニットの選び方です。
それは “欲張るな!” なんです。オーディオマニアはとかくカタログデーターの優秀な物を選びたがります。しかし、この場合に選ぶ対象は16~20cmのユニットです。まさか今更昔のコーン型ミッドレンジユニットを持ち出す人も居ないでしょうからね。
若い年代の方々はご存知ないかも知れませんが昔はそのようなユニットが市販されておりました。確かコーラルやナショナルだったのではと記憶しております。元々ミッド帯域ですのでバックチェンバー付きでした。その容量はせいぜい1~2リッター程度でした。内部には恐らく吸音材が入っていたのであろうと思います。そのように言いますのは私は使った経験はありませんでした。当然音質も知りません。しかし、それらは全て姿を消しましたので音質も性能も知れたものだったのでは? と思います。
さてさて、近年の16~20cmのユニットのカタログデーターは昔と比較すれば雲泥の差です。しかし、これはあくまでもカタログデター上の性能であって音質に関しては何の記述はありません。当然の話ではありますがね。
カタログデーターは必ずしも優秀な音を出すとは限りません。更に注意すべきは能率です。能率の悪いユニットはコーン紙の重い事を意味します。すると当然切れの悪いモヤモヤな音となります。よって、そのようなユニツトは選ぶべきではありません。可能であればパイオニアの PE-16 や ダイアトーンの P-610A などを選ぶべきです。
これらのユニットはさすがに昔のユニットでむりやり再生帯域を伸ばそうとはしておりません。実際には当時はそれが精一杯の性能だったのでは? と思います。しかし、それが自然な音を発するのです。現に私もサブシステムでダイアトーンのP-610Aの一発システムを聞いておりますが自然で可も無く不可も無しと言った音です。その “可も無く不可も無い” が大切なのです。それがいつまでも飽きずに聞いていられる音なのです。
先日我が家の倉庫を覗いてみましたらエッジの駄目になったダイアトーンP-610Aが二個出て来ました。一つは何とOPT付きユニットでした。更に探すと改造したコーラルベーター10が二個、更に改造したリチャードアレンのニューゴールデン10が一つ出て来ました。更に未使用の人口セーム皮が出て来ました。これを利用してダイアトーンP610Aのエッジを張り替えてミッドユニットで使用してみようと考えております。
オーディオシステムの音は70~80パーセントはスピーカーによって決まってしまいます。しかし、マルチチャンネルシステムの場合はそれプラス各帯域のレベルとクロス周波数で更に可能性が発生致します。可能性があるならば挑戦すべきだと私は思います。それが趣味の醍醐味であり、それが可能なのがオーディオなのだと思います。
次回はミッドハイ帯域についてです。
2015/10/1
さてさて、録音レベルを下げてダイナミックレンジを広くしない二つ大きな問題についてです。
原因の一つは音楽評論家と称するこれまた訳の解らない連中にあります。多くの評論家と称する連中は全部は聞きません。それぞれちょい聞きして印象を文章にします。そのちょい聞きの時に何故か音が小さいと悪い評価をするのです。理由は恐らく書く事が無いので最初の印象のみで評価してしまうのだと思います。そこで各レコーディングエンジニアは仕方無しになるべく大きな音で音作りをするのです。利害関係がありますので仕方がありません。
もう一つの理由はスポンサーにあります。スポンサーはオーディオマニアである事は稀です。するとレベル計を見て “もっと音圧を上げろ!” となるのです。目的は目立たせる為です。その結果コンプレッサーを思い切り効かせて平坦で音楽性の欠落したつまらない音楽になってしまうのです。
実際にはもっとあります。それは聞く側にも責任はあります。要するにどのような再生機器でもそれなりに聞こえるように平たい音を一般のお方は好むのです。恐らく皆様もその傾向は持っていると思います。確かにボーカル物などはボーカルが最も聞き易い音で録音されていると安心して聞いていられると思います。
これらが原因して多くのソフトは平たい凹凸の欠落したつまらない音に仕上がってしまっているのです。
しかし、実際の演奏はそのような音ではありません。確かに昔流行ったイージーリスニングと称する音楽は生音でもおとなしい音です。そもそも目的がそこにあるのですから当然です。
しかし、多くのジャズなどはそのような事はありません。実際の演奏では激しい音は当たり前です。それは何も打楽器に限った事ではありません。どのような楽器でも立ち上がりの鋭い鮮明な音を出すものです。それを出さない楽器は電気楽器程度のものです。確かに多くのジャズギターリストが目指すジム・ホールの放つ音はフニャフニャな音です。それはそれでそれ以上にしてはおかしな音になってしまいますのでそのままで良いと思います。
しかし、スチール弦によるアコースティックギターのマイケル・ヘッジスの放つ音は実に激しい音です。もし、マイケル・ヘッジスの放つ音を聞いて激しさを感じなかったらそれは再生装置に問題があると思って間違いありません。
そこでミッドユニットの選定が始まるのです。
次回に続きます。
2015/9/26
最初に “ミッドも箱に入れるな!” なんです。
オーディオマニアは勿論そうで無い方たちもほとんどの人はスピーカーと言えば箱に入れるものだと思い込んでいると思います。それは決して間違いではありませんが音質を重視しますと間違いの基になります。スピーカーはミッドに限らず自由空間に置くと非常に素直な音を発するものなのです。とは申せバッフルは必要です。
理想的には床に屏風のようなついたてを立てて使えれば最高です。その場合は約2m角程度の面積が必要となります。その時はウーハーも当然そのバッフルに同居させれば事は済みます。しかし、実際にはそのような使い方が可能なお宅は少ないでしょうね。更にバッフルのバックヤードは少なくとも50cm程度は必要ですのでね。
例えばウーハーはエンクロージャーに入れてミッドユニットは小型の平面バッフルにする事は可能だと思います。その小型バッフルはせいぜい50c/m角程度で充分です。非常に清々しい音の中音で音楽が楽しめます。但し、大音響は禁物です。
ここで言う大音響とは耳をつんざくような大音響の事です。そんな人はめったに居ませんが中には居るのです。その中の一人が昔の私なのです。ともかく大音響で聞いたものでした。理由は “音の悪さは音圧でごまかしてしまおう!” が原因でした。では、大音響になってしまうのか?
多くの楽器は基本的にダイナミックレンジは大きいものです。それは例え小音量楽器であっても立ち上がりの鋭い音は我々が考える以上に大きいのが普通です。例えば三味線にしても普通に弾けば家の外へも立ち上がりの音は多くの場合に聞こえます。ピアノなどはその比ではありません。何せPA無しで大ホール全体に響かせるのですから。
しかし、スピーカーはその立ち上がり特性に追い付かないのだと思います。本来は理屈から言えばその立ち上がりの部分はトゥーイーターが再生する筈です。何せネットワークは立ち上がりのスルーレイトにより振り分けられているからです。しかし、スピーカーの場合は基本的には機械部品ですので理論通りの働きはしてくれないのでしょうね。機械のいい加減な部分だと思います。私は元々は機械屋ですが機械は余りにも不確定要素が多過ぎて私には難し過ぎます。そんな理由で電子屋になったのでありますがね。
さてさて、そんな理由で小音量で聞いていると各楽器の激しさが再現されません。すると寂しさを感じてついついボリュームを上げてしまう結果となります。そこでかつて言われた言葉 “オーディオマニアは嵐がお好き!” となるのです。
その結果隣の部屋から “うるさい!” と大きな声で脅かされ “哀れなりはオーディオマニア、我なり” と寂しさに拍車が掛かる結果となります。
それを解消するにはソフトの録音時のダイナミックレンジを上げるしか方法はありません。しかし、何故かレコーディングエンジニアはそれをやろうとはしません。私に言わせればやろうと思えば出来るのです。その方法は通常の録音レベルを下げるのです。例えば通常の録音レベルを6dB(半分)に下げて録音したとします。するとその分上に6dB(2倍)に上げる事が可能になります。すると立ち上がりの部分の鋭い音が2倍のレベルで録音可能となります。しかし、レコーディングエンジニアはそれをやろうとしません。原因は二つあります。
その二つの原因は次回に続きます。
2015/9/18
5チャンネルマルチシステムの場合も、3チャンネルマルチシステムの場合でもフルレンジユニットはミッド帯域としては充分な性能を示します。その場合のユニットのサイズとしては 16cm~20cm 程度が良いと思います。現に私自身もサブシステムの3チャンネルマルチシステムにはミッドとして
JBL 8E-8TH を使っております。
フルレンジユニットの場合は低域も高域もそれなりに伸びております。よって、使い方の自由度は抜群です。私の場合は LE-8TH を約100Hzから上は約7kHzで使っております。しかし、何も LE-8TH のようにどちらかと言うと高価なユニットは必ずしも使う必要はありません。例えばフォステックスのユニットはお勧めです。或いは少々古めのダイアトーンP-610AやパイオニアのPE-16などは更にお勧めです。理由は何しろ素直な音なのです。
ここで久々にワンポイントアドバイスです。それは “オーディオマニアは妙な物がお好き” なんです。確かに妙な物はちょい聞き異色な音を出す物が多い分聞く側としては何故か新鮮な感覚に陥ってしまうのです。それが曲者なのです。 “曲者は直ぐに飽きる” なんです。
何もこれはオーディオに限った事ではありません。例えば女優の吉永小百合さんです。幾つになっても人気は抜群ですよね。理由は癖の無い顔立ちだからだと思います。とは申せ私は決してサユリストではありませんので念の為! クルマも同じです。少々妙なクルマを買うと何故か直ぐに手放してしまいます。
スピーカーも当然同じ事が言えます。型番までは申しませんが私も以前メタルコーンのユニットをしばらく使っておりましたがやはり最終的には駄目でした。やはり名機と言われる物はそれなりに長く使っていて飽きない音なのだと思います。すると当然の如く限られて来る事は言うまでもありません。
私は P-610A は改造品ですがフルレンジとして BGM で毎日のように聞いております。やはり優秀な物はいつまで経っても優秀なのだと思います。
しかし、良い事ばかりではありません。音の出方が少々緩いのです。例えばシンバルの音は “ガシャン” と鳴ります。その “ガシャン” が不得手なんです。これは良く言えば耳当たりの優しい良い音です。しかし、悪く言えば切れの悪い音です。どちらを選ぶかは聞く側の皆様の好みのも問題になりますので良いとも悪いとも言いません。
しかし、ここに大きな問題が存在します。それは “オーディオマニアとしてのプライド” です。例えばミッドに大きな高級品と一目で解るユニットを使っていますと自分もお客さんも一目置く事になります。しかし、現実としては決して納得する音で鳴らしている人はほんの極僅かでしかない事も確かな事なのです。そのような人の特質としてともかく大きな音で鳴らしているのです。理由は “音の悪さは音圧でごまかしてしまおう” なんです。私も以前はそのようなお客さんに呼ばれて良く行ったものでした。耐えられなかったですね。聞いているのが辛かったです。
次回もコーン型フルレンジユニットの使い方についてです。
私の場合はハードドームで無理を承知で400Hzまで使っておりました。理由はハードドームの切れの良いスピード感のある音に魅力を感じたからです。確かに素晴らしいのです。各楽器の音が実に生々しいのです。今でもミッド帯域のみ切り替え式で ホーン型⇔ハードドーム型 としたいと考えております。人って、出来るとなると欲深くなるものなのですね!
ハードドームの場合は少なくとも75m/m口径の場合は最低再生限界は約700Hzのようです。勿論この数値は一般家庭での話しであってPAのような大音響の場合はその1オクターブ上となります。とは申せドーム型をPAで使う人も居ないと私は思います。
700Hzから4kHz程度で使う場合は素晴らしいメリハリの効いた素晴らしい音で鳴ってくれると思います。しかし、この場合はそのミッドの音質に見合ったミッドバスが必要になります。要するにスピード感のある反応の良い軽快な音のミッドバスユニットです。皆様は既にお解かりだと思いますがそのようなミッドバスユニットは世の中に無いと言っても過言ではありません。
海外製のユニットに非常に強力なミッドバスユニットがありますが、あれはあくまでもPA用で、当然の如く低域再生が不得手です。するとそのようなユニットを使うとウーハーに少々高い帯域まで強いる事になります。すると当然全体としてバランスが狂うのです。
私はハードドームの放つ音は好きですし好感を持っております。ともかくホーン型のように馬鹿高くありません。しかし、残念ながら使い方に問題が残ります。残念ですね。
次回はコーン型ユニットによるミッド帯域についてです。
このユニットはパイオニアのスピーカーシステムから外したユニットです。勿論市販はされておりません。かつてオークションで落とした物です。今でもオークションには多くのユニットが出品されておりますので怪しい物以外であれば手に入れる価値はあると思います。但し、設置には少なくともついたてが必要ですので少々面倒ではあります。
かつてコーラルから100m/m口径のハードドームユニットが販売されておりました。ダイアフラムは確かアルミニュームだったと記憶しております。しかし、私の思いますに恐らく400Hzまでは無理だと思います。
ドーム型の場合はソフトドームもあります。ソフトドームの場合は強度の問題で球体半径が小さくなります。すると当然大型の物は少々無理があります。そのような意味で私はハードドームをお勧めします。
ドーム型の場合は何故か高域の再生が不得手なようです。しかし、考えてみると変なのです。例えば2インチドライバーの場合は多くの物が金属製のいわばハードドームスタイルです。その再生帯域はかなり広いのです。しかし、ほぼ同じ条件のドーム型となると何故か高域が不得手なのです。何故なのでしょうね?
2015/9/12
ミッドのドーム型の解説を忘れておりました。失礼しました。
ドーム型ユニットはミッドもあればハイもありで使えるユニットがいっぱいあります。但し、最大の致命傷もあります。それはダイアフラムのサイズの関係で余り低い帯域まで再生出来ない事です。私も75m/m口径のベリリウムハードドームユニットを持っておりますし、かつては使っておりました。しかし、私が希望する最低再生帯域の400Hzは無理なのです。しかし、音質はスピード感のある再生音で納得行くと思っております。
木製の自作スロートを作るのが大変だからと言って金属製のスロートを入手して安易に使うと失敗の原因となります。音響負荷で振動すると云う事は先ずは付帯音を伴う結果となります。更に、振動させると云う事はその部分でエネルギーの損失を伴う事にもなります。要するに音響的には悪い事はあっても良い事は一つもありません。
オーディオとは一つ一つの積み重ねなのだと私は思っております。特に多チャンネルマルチシステムとなると問題の発生源はその分多くなります。その問題の発生源は自分自ら探し出すしか方法はありません。
高級オーディオ機器ショップの場合は数千万円買ってくれたお客さんには店員が持ち込んで全てセットしてくれるそうです。しかし、店員は単なる店員であって音の専門家ではありません。任せてしまうと “そんな筈ではなかった!” になります。しかし、現実には問題は発生しません。何故なら売る側も買う側も音など何も解っていないからです。
少なくとも当ホームページをご覧になっていらっしゃるお方は上述のような馬鹿な事はしないと確信しております。やはり人は何事に対しても額に汗して完成した時の喜びを味わって然るべきと私は思っております。
次回はミッドハイ帯域についてです。
写真は二回目の出場です。今回の主役は黒に塗られたスロートです。勿論私の自作です。このスロートは構造上の理由もあり前後は10m/m厚のアルミ板になっております。
黒い部分は25m/m厚のパインの集成材を三枚重ねた構造です。サイズは当然95m/mのスロートと云う事になります。
ドライバー側は当然2インチの丸穴です。出口は当然扁平の四角です。実はこれが難しいのです。私の場合は以前木工に凝った時期があり道具は色々と持っております。しかし、多くの方は恐らく持っていないと思います。
簡単に、更に、確実にこなすには丸刃の彫刻刃が良いのでは? と、思います。しかし、少しずつ少しずつですので時間は掛かる事は覚悟の上での作業になる事は間違い無いと思います。
ホーンの問題はこのスロートなのです。何故なら最も音響負荷の掛かる部分だからです。
2015/9/11
ホーンのアダプターとも言えるスロートは何故か現在は市販されていないようです。そんな理由でオークションで安いからと言って大型ホーンを落札しますと “そんな筈じゃなかった!” なんて事になりますので充分ご注意下さい。
2015/9/8
5チャンネルマルチシステムの場合はミッド帯域は約3オクターブです。当然目的はユニットの最も得意とする帯域のみが使用可能と云う意味になります。これをもっとも高い周波数まで使えるからと言って欲張ると “そんな筈では無かった!” になります。それはうるさい音になってしまうからです。原因はダイアフラムの分割振動です。
すると例えば JBL の ダイアフラムが合成樹脂の 2482 でも全く問題なく使えます。2482 は比較的安く売られておりますのでお勧めです。現に私は以前使っておりました。2482 は基々高域特性は良くありません。よって、3チャンネルシステムですと少々問題が残ります。しかし、5チャンネルマルチシステムの場合は使用帯域として上限は5kHz程度ですので全く問題は発生しません。
出来ればここでアルテック288に類するユニットの使用方法もお伝えしたいのですが残念ながら私は使った事がありません。ご容赦下さい。
2インチドライバーの使い方は何も2インチだが優秀な音を再生するとは限りません。原因はホーンの鳴きです。その鳴きを止める目的でデッドニングがあります。しかし、私はお勧めしません。理由は音もデッドになってしまうからです。私は昔パイオニアの500何とか云うホーンを使った事がありました。何と盛大なホーンの鳴きでした。そこで油粘土でデッドニングを施しました。すると確かに鳴きは止まりましたが音も死んでしまったのです。
やはりアルミダイキャストホーンの場合は写真に載せたように上下から挟んで応力を残す方法が最も効果的なようです。これは目的は応力を残す事ですので砂袋でも勿論構わないと思います。では、ウッドホーンの場合は?
私はウッドホーンは余りにも高価な為使った事はありません。しかし、友人が自作したウッドホーンは良く聞いたものでした。幅約800m/mの大きな物でした。確か25m/m圧の集成材を何枚か重ねて作ったものです。材質は南洋のパイン材による物でした。実にしっかりとした充実した音でした。
形状は見掛けはエクスポネンシャルです。しかし、計算してカーブを作った訳ではありませんので実際にはイイカゲンシャルホーンでした。しかし、ホーンの形状は実際にはそれ程影響は与えないようです。今でもお使いのお方は大勢居られると思いますが扁平ホーンです。理屈から言えばコニカルホーンです。すると低域になるに従って音響負荷は減衰する筈です。しかし、現実としては問題は起こらないようです。扁平ホーンは作り方が簡単ですので挑戦する価値はあると思います。
どうにもこうにも使い方が困るのは鉄板の溶接ホーンだと思います。何せ盛大に鳴くのです。更にその鳴きは止めようがありません。あれは元々ホールなどのPA用ですので一般家庭に入れるのは少々無理があるようです。
2インチホーンとなるとどれを取っても大変に高価な物ばかりです。そこで私は集成材を利用して自作する事をお勧めします。この時に問題となるのは削り方です。勿論電動カンナで削るのですが削りかすが大変な事になります。それを覚悟でやる価値は充分にあります。仕上げはオイルステインがお勧めです。乾くまで少々臭いますが仕上げは綺麗です。その時にもう一つの問題はスロートです。
次回は木製スロートについてです。
2015/9/1
先ずはユニットの許容入力について少々ご説明しましょう。
例えばフルレンジユニットの場合は昔のヨーロッパではそのユニットが歪みを発生しない最大入力を許容入力として表示しておりました。そんな理由で昔のデーターを見ると許容入力は相当に低い値が示されております。
しかし、アメリカでは表示の方法が違いました。アメリカの場合は本来は許容入力では無く非破壊最大入力でした。それは現在でも同じです。
我が国の場合は昔はヨーロッパ方式を使っていたようです。しかし、ユーザーがその事を理解してくれませんでしたのでアメリカ方式に移行したようです。私は個人的にはヨーロッパ方式が本来はユーザーの立場に立った表示であり、正しい表示ではないかと思っております。
さてさて、専用帯域用ユニットの許容入力についてです。例えば
“推奨使用帯域 800~20.000Hz -12dB/oct 最大許容入力30W”
と、あったとします。すると多くの人はそのユニットの最大許容入力が30Wであると判断します。しかし、それは大きな間違いなのです。本当は表示の内容で使用した場合にそのスピーカーシステムの最大許容入力が30Wと云う意味です。よって、そのユニットに30Wのパワーを入れますと破壊してしまいます。
これは例えば動作中にアースが浮いたとします。するとそのパワーアンプのほぼ最大出力がユニットに加わります。当然ほとんどの場合にユニットは破壊されます。近年は数百ワットなどのパワーアンプが当たり前に存在します。すると “大きい事は良い事だ!” で1インチドライバーにも2インチドライバーにも、中にはトゥーイーターにもそのようなパワーアンプを平気で使います。これは危険です。大変に危険です。事故があれば間違いなくユニットを壊します。
更にSN比にも問題が発生いたします。SN比とは最大出力に対する雑音の比率です。すると同じ数値のパワーアンプでも最大出力の小さいパワーアンプの方が雑音は少ない事になります。具体的に申し上げます。
SN比が-60dBだったとします。パワーアンプは片や10W、片や100Wと仮定します。-60dBとは実数に戻すと1/1.000です。10Wのパワーアンプは8Ω負荷の場合に電圧は8.95Vです。するとノイズの電圧は8.95mVとなります。片や100Wの場合は電圧としては28Vです。するとノイズの電圧は28mVとなるのです。同じSN比のパワーアンプでも結果としてはこのようになるのです。
よって、ホーン型のような高能率のユニットの場合はSN比がそのシステムの雑音の大きな要因になります。大きい事は良い事だで安易に大出力のパワーアンプを使うものではないと私は思います。
私の場合はミッドにはガウスHF-4000+JBL2350で使っております。パワーアンプはナショナルセミコンダクターの50Wのパワーアンプです。ナショセミのパワーICは音質もSN比も抜群ですので何も問題は起こっておりませんが、実際にはそのようなパワーアンプは使う必要はありません。いずれ真空管式OTL
アンプに入れ替えようと考えております。その時は6080の単管の予定です。するとガウスのユニットは16Ωですので出力としては約3W程度だと思います。
真空管式OTLアンプは非常に清々しい音なのです。特にミッド帯域は全体の音質に大きく影響しますので恐らく効果抜群の筈です。その時に問題となるのはパワーアンプの入出力特性です。例えば片や50W、片や3Wとします。その時に最大出力に達する入力電圧が同じ1Vだったとします。すると同じ入力電圧で片や50W、片や3Wなのです。
私の場合はそのようなアンバランスが発生しましたら例えばゲインコントローラーで調整する事が出来ます。更に、場合によってはNFBの量を減らすか増すかで対処出来ます。しかし、多くのオーディオマニアはそれは不可能だと思います。やはりそのような意味でマルチチャンネルシステムは厄介と言えば厄介ではあります。
しかし、真空管式OTLアンプは魅力があります。特に6080はプレード電圧が低いので100:100のタイトラがB電源に使えます。しかし、ドライバー段には400V程度が必要です。その場合は100:200Vのトランスで倍電圧で解決すると思います。するとパワー段のパワートランスが二個。B電圧用パワートランスが一個。更にヒータートランスとなります。かなり重くなる事が推測されますね。
またまた横道に反れました。次回はミッド帯域にもう少し詳しく説明しましょうね。
右は以前ご紹介したダイアトーンP-610Aのエッジレスユニットです。現在このユニットはフルレンジとして実用しておりますが、まだ610Aは手持ちがあります。勿論エッジは駄目になっております。
今度はそのユニットを直してミッドに入れてみようかと考えております。但し、ミッド帯域に使いますのでエッジレスに改造するか? 或いはフェルトを使ってミッドユニットに改造しようか? 迷っております。
5チャンネルの場合はミッドは400Hz程度までですので恐らく16cmユニットの方が良い結果が出るのではないかと推測しております。
次回はもう少々詳しい内容で話を進める事にしましょう。
私は現在はホーン型をミッドとして使っております。しかし、果たして何が良いのか今でも判りません。この事は恐らく皆様も迷う事だと思います。但し、当然使い方により音は大きく変わる事は確かな事です。
総じて言える事は全て数千Hzを超えますと少々うるさい音になるようです。原因はダイアフラムの分割振動だと確信しております。
下は3チャンネルのサブシステムを組む為に揃えたユニットです。ミッドは皆様おなじみのLE-8Tです。コーン型は再生帯域が非常に広いので使い易いユニットだと思います。
左はガウス4000番とJBL2350です。恐らく多くのオーディオマニアが憧れていると思います。
2インチドライバーと幅600~700m/mのホーンの組み合わせの場合は一般家庭では400Hz程度まで問題なく使えます。メーカー発表のデーターはその1オクターブ上が下限のなっております。しかし、あの周波数はPAで大音響で鳴らした時の値であり一般家庭に適用するのは間違いです。
ホーンは口元に大きな音響負荷が掛かります。そこでアルミダイキャストホーンは写真のように鳴き止めを施す事をお勧めします。
左はパイオニアの75φのベリリウム製のドームユニットです。しばらく使っておりました。理由は何しろ反応は抜群です。しかし、少々低い帯域が弱いのが欠点だと思います。75φの場合は700Hzが限界のようです。
2015/8/29
ミッド帯域には色々なタイプのユニットが使えます。ホーン型・コーン型・ドーム型が代表的な事は言うまでもありませんね。私は個人的にはこの三種類とも経験があります。当然各々長所・短所があります。
2015/8/27
ミッド帯域についてです。
5チャンネルの場合のミッド帯域は約3octになります。それは 400~5kHz となります。詳しく申し上げますと 400・800・1600・3200・6400Hz となるからです。ここでオクターブについて忘れているお方も居ようかと思いますのでここで復習です。
オクターブとは倍音の法則とも言い換えられます。例えば G線上のアリア の G の音は ソ の音です。ギターで言いますと第3弦です。その周波数は440Hzです。しかし、近年は443Hzが用いられているようです。理由は周波数が高い方が大きな音が出せるからだそうです。しかし、私のような音痴には判りません。その1オクターブ上の音は二倍の880Hzとなります。同じようにその上の ソ の音は1760Hzです。これがオクターブの原理で倍音の法則とも言います。
西洋音楽は7音階で平均律とも言います。7音階とは ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ です。この ミ と ファ、シ と ド はギターで言いますと1フレットで半音になります。その他の音階は1音階で進みます。ギターの場合は2フレットです。
これが我が国の古典音楽の場合は5音階です。沖縄音楽も古来の曲は5音階です。しかし、近年の沖縄音楽は7音階を5音階のようにごまかしているようです。
私はギターを弾いていた頃は第4弦の5フレットと第3弦の開放で音階を確認していたものでした。その基音は当時は簡易調整器が売ってましたのでそれで合わせておりました。後に我が家でもアッパーライトではありますがピアノを買ってピアノで合わせておりました。
ピアノは娘の為に買ったのですが娘も嫁に行き今では誰も弾きません。そこでボケ防止にと私もしばらく練習したのでした。しかし、私は昔からト音記号の楽器しか弾いた事はありません。ピアノの左手の音階はヘ音記号の楽譜です。見てもピンと来ないのです。娘に言わせると “わずか3度の違いだよ!” と言うのですがそれが即座には指が動かないのです。そこで “ボケてもいいや!” で止めました。
私はそのほかにも色々な楽器に挑戦しました。トランペッと・クラリネットなど等です。ドラムスもやった事がありました。しかし、どれをやっても全然上達しないのです。そこで楽器はその時点で止めました。やはり才能の問題なのでしょうね。
しかし、その後日本古来の横笛も借りて挑戦しました。音はすぐに出ました。しかし、そこから一歩も進みません。最終的には親しい友人から練習用の尺八を貰って尺八も挑戦しました。音はすぐに出ました。しかし、そこから一歩も進みません。師匠に付けばいくらか進んだのかも知れません。しかし、そこまで真剣にやる積りはありません。よって、尺八は埃をかぶっております。
今回は大変に横道に反れました。次回はミッド帯域受け持ち帯域についてです。
5チャンネルマルチチャンネルシステムの考え方と組み立て方 No.2