音楽は楽しく聴くものだと思います。オーディオ評論家と称する連中は仕事ですので重箱の隅を突いて必要以上なコメントをします。しかし、私は本当に解っているとは思えません。何故なら近年の箸にも棒にも掛からないようなスピーカーシステムの音を聞いてもっともらしいコメントを書いているからです。もし彼らが本当の生音を聞いていたらあのようなコメントである筈がありません。彼らは仕事上仕方無しに書いているのか? 或いは本当に解っていないのか? 恐らく後者でしょうね!
“スッピン美人はほとんど居ない” 以前申し上げました。しかし、近年のスピーカーシステムは元々二重瞼(まぶた)、何重もの付けまつげ、ベタベタのルージュ、更にどうらんにほお紅まで塗りたくった元々の顔など無い作り上げた顔(音)です。余りにもやり過ぎです。やはり元々出来の良い顔(音)を適当な薄化粧で仕上げて楽しく満足できる顔(音)で聞きたいものだと私は思います。
本来はこのシステムにサウンドエキサイターを入れれば更に満足できる音になります。しかし、このシステムに繋がっているのは少々弱いユニットですのでエキサイターを入れるとスピーカーユニットに対して余りにも過酷です。場合に依っては壊れてしまいます。何せ許容入力の小さなユニットばかりが繋がっておりますのでね。サウンドエキサイターはやはりそれなりの能力を持ったシステムに入れるべきと思います。
ここまでの内容を満足するシステムを作った場合には満足できる音で音楽を楽しむ事が可能になります。確約します。それでも満足出来ない音であったならば気が付かない何かの原因があるのだと思います。例えばインピーダンス整合とかです。
オーディオシステムとは総合した結果が音です。何処か一箇所でも不具合があればそれで悪い結果となります。多くの人が個々の機器を個別に考えてしまうようです。問題はそれらの使い方の問題もある事を念頭に置いて然るべきなのです。
このシリーズはとりあえず今回で終わりとします。今度は私のメインシステムを夏休みに再構築する予定にしておりますのでその顛末にしたいと思います。
終
プリアンプ
レベルセッター
本機
TC部分
MB部分
そこで写真のエフェクターを作ってみました。試作品は超低高音域とNF型トーンコントローラーを一つのシャーシーに収めた物です。
大音量の時はトーンコントローラーは OFF します。しかし、一般的なウーハーは超低域は不得手ですので超低域は絶えず ON です。勿論音量により調整します。更に、一般のトゥーイーターは超高域は不得手ですので絶えず ON です。勿論こちらも音量により調整します。更に、各システムによっても各々調整は変って来ます。
要するにこの試作品は当方の超低高域ブースターの MB の回路です。トーンコントローラーは中心周波数を700Hzにセットした多少ではありますが変則的な回路の物です。これを各々 ON-OFF スイッチを付けてみました。
当初は超低域は 30Hz にしたのですがダイアトーンP610Aのエッジレスユニットではさすがに無理でした。本機は 50Hz にしました。すると小音量であればP610Aでも充分に使えます。但し、効かせ過ぎは禁物です。
P610Aは比較的フラットな特性のユニットですのでトーンコントローラーは多少の調整で非常に良く鳴ってくれます。
マグナボックスの場合は中高域がダラ下がりですのでトーンコントローラーは多少上げ気味にすると生々しい音で鳴ってくれます。
2014/4/4
グラフィックイコライザーは基本的な音の修正には有効だと思います。しかし、何故か不自然な音になってしまうようです。私も過去アナログ式デジタル式を試してみましたが結果は良いとはいえませんでした。そこでグラフィックイコライザーの上手な使い方についてワンポイントアドバイスです。
使い方のコツは富士山型に調整する事です。例えば32ポイントの物であれば必ず隣りのツマミも少し動かすと云う事です。要するに極端なイコライジングは良い結果は得られないと云う事です。しかし、それでも私の場合は良い結果は得られませんでしたので止めました。原因は恐らくグラフィックイコライザームの回路自体が少々複雑であると云う事であろうと思います。
さて、ここで原点に戻って考えてみましょう。基本的に優秀な音質のスピーカーシステムであればある程度の音圧であれば何もイコライジングしないでそれなりの音質で音楽は楽しめます。問題は小音量の時です。
その場合はやはりNF型のトーンコントローラーは有効です。しかし、トーンコントローラーは昔は当たり前に装備されておりましたが、近年では無いのが当たり前です。それは基本的に間違いである事は以前申し上げました。
しかし、単にトーンコントローラーだけではやはり不足なのです。要するに小音量時では地をはうような低音は聞えません。例えスピーカーは再生していたとしても人の耳には聞えません。すると “そのような低音は身体で感じるのだ!” なんて人も居ると思います。しかし、その為にはコンクリートの床が必要になります。何故なら一般的なフローリングでは床が低音を吸収してしまい身体には感じられなくなってしまうからです。それでも低音を出す為にはより以上の低音信号をスピーカーに入れてやる必要があります。
このシステムでは主にFM放送を流しておりますので声が自然に聞える範囲のイコライジングです。そのイコライジングは低域はピーク50Hzのローブストと10kHzのハイブーストです。この周波数ですと声にほとんど影響しませんのでアナウンサーの声が自然に聞えます。しかし、いざ音楽となりますとイコライジングが大きく物を言います。小音量で低音楽器が生々しく響きます。勿論シンバルなどのパーカッションも生々しい鳴り方で聞けます。
皆様は “鱈子唇(タラコクチビル)と云う言葉を知っていると思います。要するに近年の極端にイコライジングされたスピーカーシステムの音です。確かにインストルメンタル音楽を聞いている場合は量感は凄いと思います。しかし、ボーカルとなると “そりゃないだろ!” の音です。ビング・クロスビーがベイ・ブルースに変身してしまうのです。明らかに “嘘の音” です。
要するにある程度のスピーカーシステムになりましたらトーンコントロールは弊害となりそれなりのイコライジングが必要になるのです。その見極めはユーザーの責任である事は言うまでもありません。例え小型ユニットのシステムの場合でもユーザーの考え方次第でそれなりに鳴ってくれるとお考え下さい。
ここで何度も言うようですがスピーカーは箱に入れますと自然な音にはなりません。原因は必ず共鳴した音になってしまうからです。それは例えバスレフであろうが密閉であろうが結果は同じです。しかし、多くの人が “俺の部屋は狭いから・・・” と言いますが決してそのような事はありません。
試しに安い小口径の安いユニットを買って安いベニア板で試してみると事をお勧めします。結果は非常に自然な音に驚くと思います。これが現在の私の結論です。
次回は “では、グフィックイコライザーでは?” についてです。
クロス周波数は 約100・7kHz です。とは申せ自前の自在型ディバイダーでクロス周波数は多少離して鳴らしております。多少離した方が自然な鳴り方だからです。
このシステムは-6dB/OctのCR型チャンディバで鳴らしております。2・3チャンネルの場合は-6dB/Octの方が自然な鳴り方なようです。とは申せ現在NF型に依る-12dB/Octのチャンディバを試作中です。その可変範囲は約3オクターブです。すると100Hzに対して800Hzまでの範囲になります。
とりあえずローカットの回路は出来上がりました。ローカット回路に対してハイカット回路はコンデンサーと抵抗の入れ替えで可能ですので恐らく問題は出ないと推測しております。
2405
LE8T
コーン紙張替え30cmウーハー
2014/3/19
いままでのお話で音楽とは本来楽しく聞くべきものだと感じたと思います。音楽とはあくまでも “音楽” であり “音が苦” ではありません。よって、重箱の隅を突いて “悪いところ探し” で音ばかり追い掛けているものでは無いと私は思います。
私の場合は今は仕事中のほとんどの時間サブシステムの3チャンネルマルチシステムを流しております。
2014/3/15
トーンコントロールは最も簡単に音質コントロールができる非常に便利なコントローラーである事は以前も申し上げました。しかし、便利な分だけ問題もはらんでおります。要するに “万能薬は何にでも効くが何にでも効かない” のと同じです。では、何処に問題があるのか?
それはコントロールする周波数帯です。一般的なトーンコントローラーは中心周波数は1kHzです。この帯域は多くの楽器は勿論人の声もほとんどの周波数で含まれております。すると結果としてスピーカーシステムは勿論単一ユニットの場合もその持つ音質その物を否定する結果となってしまうのです。すると深夜密かな音で聞く場合は非常に効果的ですがある程度の音圧で聞くと音そのものを崩す結果となってしまいます。
更に、例えば10~20cm程度のユニットで自作のスピーカーシステムの場合は大変に効果的です。今でも自作のスピーカーシステムで音楽を楽しんでいる人も大勢さん居ると思います。それは勿論楽しい趣味だと思います。しかし、そこに “何も足さない、何も引かない” は間違いです。例えば、例えばですよ、世の中にスッピン美人はほとんど居ないと云う事は男性であれば多くの人が実感していると思います。そこに薄化粧を施すのがトーンコントローラーです。
しかし、ある程度の価格帯のオーディオアンプは見栄が邪魔をして各種コントローラー類は搭載していません。しかし、聞く側にも問題もあります。それは “これぞピュアオーディオ” と、言わんばかりに淋しい音で我慢して聞いている事です。ここで一言 “趣味は何をやっても許される” です。要するにその人が満足すれば何をやっても趣味であれば許されるのです。
そのような意味でトーンコントローラーは大変に便利で効果的な物でありますが、逆に使い方を間違えると陀物と化す事も確かな事なのです。
ここでスピーカーシステムの自作マニアにワンポイントアドバイスです。それは “スピーカーは箱に入れるな!” です。しかし、多くのオーディオマニアは “スピーカーは箱に入れるもの!” の固定観念にさいなまれております。ここでもう一つワンポイントアドバイスです。それは “開放的で伸び伸びとした音を聞きたかったら平面バッフルにせよ” です。
バッフルの大きさは36の板を半分にカットしたサイズで充分です。材質は見た目を考えればパイン集成材ですが近年の家の壁材であるラーチでも充分です。ラーチとは北米産の針葉樹のベニア板です。昔は米松と呼ばれておりました。アメリカ製の多くのスピーカーシステムが主材にしている材料です。アルテックのA5・A7の材料です。
要するにアメリカでは針葉樹が多く取れますのでそれを材料にしていただけの話なんです。しかし、我が国では主だった樹木は杉です。ベニア板にはなりません。そこで東南アジア原産のラワンを材料にしてベニア板を作りました。
ラワンのベニア板は見た目が少々悪いのでラーチが良いので私はお勧めします。板厚は12m/mがあったと思います。仕上げには私は簡単に墨汁で真っ黒に塗ってありますが緑色のオイルステインは中々良いと思います。
問題は天井から吊り下げる場合です。私は天井を叩いて梁を探して50m/m程度の木ねじで止めましたがその作業はくれぐれもお気を付け下さい。夜中に寝ているお腹に落ちてきたら大変ですのでね。
このスピーカーシステムにトーンコントローラーを入れて鳴らしたらどんな高級スピーカーシステムよりも優秀な音で音楽を楽しめます。
次回は一歩進んだ音作りについてです。
昔は確かにCR型がほとんどでした。オーディオ評論家と称する連中は恐らくCR型のトーンコントロール回路で聞いて “トーンコントロールは駄目!” と酷評したのだと思います。その事が未だ現在に悪影響を与えているのだと私は思います。だから私はオーディオ評論家と称するペテン師連中と言うのです。要するにオーディオ評論家と称するペテン師連中はオーディオ回路の事は全く解っていないのです。
しかし、トーンコントロールは問題もあります。そこで次回はトーンコントロールを使った時の問題点についてです。
この事は聞え方として大きく差が出ます。CR型の場合は多少上げただけでモヤモヤした音になってしまいます。しかし、NF型の場合はそのような事は起こりません。
ここで私の意見ですが、やはり音楽は楽しく聴くべきものだと思います。オーディオ評論家と称するペテン師連中のように重箱の隅をつつくような聞き方をしたら楽しくも何ともありません。
さて、ここで少々専門的な話ですが同じトーンコントロールでも回路方式により特性に大きな違いがあります。回路方式とは一つはCR型です。もう一つはNF型です。CR型の場合は図で示す左側の特性を示します。NF型の場合は右に示す特性を示します。
グラフは私が以前作ったトーンコントールの特性です。多少ではありますが変則的な特性で作りました。理由はこの特性は比較的自然だからです。
更に高域に関しては上昇を押さえた特性にしてあります。理由はこれ以上は不要だと判断したからです。
この特性は勿論最大値ですので普段はここまでのイコライジングはしません。実際には減少に関しては不要なのですが無くすと作るのがかえって厄介ですので下降特性も持たせたままで作りました。
このトーンコントロールを使いますと小音量でも朗々と鳴ってくれます。要するに “音楽を楽しく聴ける” なのです。
一目盛2dB
0dB
700Hz
2014/3/7
16~20cmフルレンジユニットで最も簡単に優雅な音を演出させるのに最も簡単な方法はトーンコントロールだと断言します。何せシステムによってもソフトによってもツマミ一つで自由自在です。実際にお使いになったお方はオーディオマニアであれば少ないと思いますが実際には非常に有効に使えるグッドアイテムだと思います。
2014/2/27
スピーカーシステムの音質は中音域で決まると思っております。その帯域はせいぜい100数十Hzから5kHz程度まででしょうね。
100数十Hzを下回った音はウーハーの性格により決定されます。例えば近年の非常に重いコーン紙を使用したウーハーの音は重い低音となって我々の耳に届きます。この音は既に皆様はお解かりと思いますが私が最も嫌う音です。要するに量感のみの低音です。
高域に関しては5kHzと言いますと多くの楽器が含む音域となります。しかし、この帯域が実は曲者なのです。比較的安価なスピーカーシステムはこの帯域にピークを作っています。すると普通の人は高域が出ているように感じてしまうのです。しかし、この手の音作りされたスピーカーシステムは少々音圧を上げるとうるさい音に聞えます。これは良くありがちな “姿だけは立派!” ですかね。
さてさて、我々オーディオマニアはそのようなスピーカーシステムは使っていないと思います。オーディオマニアの使っているスピーカーシステムは普通の音として聞えるものであると私は信じております。例えばオーディオショップで “んっ これは!!!” なんて云うスピーカーシステムの音は突飛な音がほとんどです。すると当然直ぐに飽きてしまう音である事は皆様理解していると思います。
やはりスピーカーシステムは普通の音を出す物が最も優秀なスピーカーシステムだと私は思います。その点現在私が仕事中ほとんどの時間鳴らしているダイアトーンP-610Aの音は優秀だと思います。何せ何時間聞いていても聞き疲れの無い音です。しかし、周波数特性の縦軸はそのままでは問題があります。16cmユニットですので当然と言えば当然です。では、どのようにすれば良いのか?
上述の周波数帯域はいじってはいけない帯域です。何せそのユニットが放つ基本的な帯域です。この帯域をいじると云う事はそのユニットを否定する事になりますし、音その物を崩してしまいます。
この時に最も安易で有効なのはトーンコントロールです。トーンコントロールに関してはオーディオマニアの多くの人が嫌う物ですね。しかし、トーンコントロールを否定する多くのオーディオマニアは使った経験は無いと思います。何せトーンコントロールを搭載したアンプは所謂普及品ですのでね。普及品はオーディオマニアとしては使用に関して拒否反応を示します。では、何故か?
それはかつてのオーディオ評論家と称する連中のいい加減なコメントが全ての諸悪の根源だと私は断言します。確かに大型スピーカーシステムでそれなりの環境でそれなりの音圧で聞けばトーンコントロールは無駄であるし音を崩してしまいます。では、そのような条件の基で聞いている人が何パーセントいるか?
ほとんど居ません。多くのオーディオマニアは四畳半か六畳程度の部屋が自分のお城です。当然音圧も限られております。すると現在のAV用の床面積の小さな物が売れるのかも知れませんね。
以前も申し上げましたがAV用のスピーカーシステムはそれ自体が大変に作られた音で、更に演出された音です。するとこの手のスピーカーシステムは何も手を加えないでそれで満足して然るべきスピーカーシステムだと私は思います。
そこで以前の話に戻るのですが我が国の各メーカーが周波数特性の優秀さを求めたスピーカーシステムの方がよっぽどましです。何せ音が素直です。変に演出しておりません。しかし、その分味気の無い音であった事は確かな事だと思います。
ここで私から提案です。多くのオーディオマニアは昔の16~20cmのユニットをお持ちだと思います。それらを再度登場させては?
しかし、多くを求めてはいけません。そのまま使えば当然淋しい音です。その時に聞き方の問題があります。中音を重点的に聞くのです。実に素直な音で鳴ってくれる筈です。問題はそこです。
長くなりましたので次回に続きます。次回は基本的な音を崩さずに音域を広げる方法についてです。
2014/2/21
ほとんどのスピーカーシステムは再生帯域として20~20kHzと明記されております。例えば20cmウーハーの物も38cmウーハーの物もです。変ですよね。何せコーン紙の有効面積は何倍も違いますからね。では、何故?
この原因はJISの規定にあります。JISには “平均音圧に対して±10dBまでは再生しているとみなす” の項があるのです。するとピークとディップの真ん中を平均値としてしまえばその±10dBです。更に穿って考えてみますとピークを無視すれば更に低い音まで再生しているとみなしても決して嘘ではない事になります。
さて、ここからが本題です。多くのオーディオマニアは恵まれた環境のオーディオショップで音を聞いて購入します。ほとんどのオーディオショップは当然ある程度の音圧で音楽を聞かせます。すると多くのスピーカーシステムは良い音に聞えてしまうのです。
さてさて、自宅にスピーカーシステムが届いて音出しです。すると多くの場合に “???・・・ そんな筈ではなかった!” なんて事になります。そこで少しボリュームを上げます。するとある程度まとまった音に聞えます。すると “もっと上げればもっと良くなる” なんて思うのは当然です。
そこでもう少しボリュームを上げます。その結果 “うるさい!” の生音攻撃に遭遇する結果となります。久々に “オーディオマニアは嵐がお好き” なんですね。
ここで更に結論に近付きます。例えばオートグラフの場合です。何せ大きいです。六畳や八畳の部屋にはとてもとても収まりません。何せ元々ダンスホール用に作られたスピーカーシステムですのでね。多くの場合が20畳程度の部屋に収まっております。すると当然ある程度の音圧が出せます。当然朗々と鳴ってくれるのです。例え明らかに嘘の音であっても多くの人はその音に酔ってしまうのです。何せ私もそうですのでね。
しかし、しかしなんです。それはボリュームを絞った時に起こります。淋しい音に聞えてしまうのです。酔いが覚めてしまうのです。原因は人の耳が元々持っている特性にあります。それを説明したのが古くはフレッチャー・マンソン氏なのであります。ここで改めて詳しくは説明はしませんが人の耳は音圧が下がりますとその分低域と高域の音が聞えづらくなる特性を示します。それがフレッチャー・マンソン氏特性です。
この現象は数百万円のスピーカーシステムでも数万円のスピーカーシステムでも条件は同じです。
さてさて、ここで我が国のスピーカーシステムについて考えてみましょう。何せ我が国の技術やは真面目です。ともかく再生特性をフラットにしようとしました。確かに我が国の数十年前のスピーカーシステムの周波数特性は素晴らしい特性でした。我が国のスピーカーメーカーはその素晴らしい再生特性をパンフレットに載せて宣伝しました。
しかし、海外のスピーカーメーカーはほとんど全て再生特性など発表しませんでした。正確には発表出来なかったのが本当だと思います。しかし、海外の物は確かに良い音に聞えたのです。では、何故?
答えは “演出された音” だったからです。海外のメーカーは音楽を例え嘘の音であっても心地良く聞かせる腕と感性を持っていたのだと思います。
当然オーディオ評論家と称するペテン師連中は海外製を褒め称えます。その結果我が国のスピーカーメーカーは全滅の危機に陥り、中には没してしまったメーカーもあったのです。その原因はオーディオ評論家と称する連中と、それに騙されたエンドユーザーです。しかし、私に言わせればスピーカーメーカーの技術やは余りにも勉強不足だったと思います。
製造メーカーの技術やもプロデューサーも “主役はお客さん” である事を忘れていると思います。アマチュアであれば自らの希望と欲求を満たせば良いのです。しかし、プロは自分を捨ててお客さんの立場に立って製品を作る必要があります。そのような意味で我が国のスピーカーメーカーの技術やもプロデューサーも落第だった思います。
いやいや、またまた私の悪いクセで大いに横路に反れてしまいました。何せ書き始めるとついついなんです。特に本日は新作のフォノイコライザーでブラザース・フォーの優しい歌声を聴きながらの作業でしたので尚更でした。
次回はイコライジングして良い帯域についてです。
2014/2/20
スピーカーシステムの音質を決定付ける帯域は私は100~7kHz近辺であろうと思っております。100Hz以下に関しては勿論音質に影響は与えますが決定的な要因には至らない帯域だと思っております。しかし、私は共振を利用したバスレフ式のボンボンと耳障りな音が嫌いなので平面バッフルにしているのですがね。
高域に関しては7kHz近辺の音は妙に耳に付く音に聞えます。よくありがちなシャカシャカと耳障りな音がその帯域の音です。一般の人には高域として聞えているようです。しかし、あの帯域のシャカシャカした音は決して高域などではありません。その証拠にそのような音を放つスピーカーシステムは金属製の短冊の放つ音は不得手な音でして聞えないシステムも多く存在します。
人は聞えないと無い物として平気で通り過ぎてしまいます。これが本来は “情報量の少ない音” なのだと思います。
近年のAV用のスピーカーシステムの場合はオーナーのほとんどがオーディオマニアではありません。すると低域のボンボン鳴る音と高域のシャカシャカした音で “良い音だ!” となってしまう結果になります。しかし、オーディオマニアにとっては “許されない音” な訳です。
そのような意味でスピーカーシステムの音質を大きく左右するのは上述の帯域であると私は確信しております。では、その帯域の音作りを決定付ける要因は?
それは各ユニットのオーバーシュートが大きく影響していると思います。オーバーシュートは口径が大きくコーン紙の質量が大きくなれば当然大きくなります。それを強制的に抑えてしまうのでMFBでした。
私の場合はサブシステムとしてマグナボックスの30cmフルレンジシステム、30cmウーハー+JBL LE8T+JBL 075に依る3チャンネルマルチシテム、ダイアトーン 610Aと3システム使用しておりますが最も自然で聞き易いシステムはダイアトーンの16cm一発システムです。そのような意味で16cmユニットは最も相応しいオーバーシュートを示しているのではないかと思っております。
さてさて、かつては海外は勿論我が国でも30~38cmのコアキシャル(2ウエイ)、トライアキシャル(3ウェイ)、中にはテトラキシャル(4ウェイ))なんて物までありました。中でも有名で今でも追い掛けている人がいるタンノイやアルテックは特筆すべき存在だと思います。以前はジェンセンの610Bが持てはやされた時代もありましたが、今では収まる所に収まってしまったようで全く聞かなくなりました。
それらのユニットの放つ音の特長として緩い音があります。やはり38cmである程度高い音まで受け持たせると音質そのものに大きく影響を与えてしまうのでしょうね。
少々横路に反れてしまいました。本道にもどしましょう。スピーカーシステムはそれなりの価格帯の物であればそのメーカーが主張する音質であって然るべきです。するとその音質自体を気に入って購入する事になります。しかし、私が申し上げたいのは “それで満足なのですか?” なんです。
そこで私は決してミクロ的に観たい訳ではありません。マクロ的に観て “いかがですか?” を問いたいのです。
少々長くなりましたので次回に続きます。次回はコントロールすべき帯域についてです。
2014/2/19
昔のステレオアンプはトーンコントール・ラウドネスコントロールは当たり前に付いておりました。当時、オーディオマニアの憧れの的だったマランツ7型・マッキントッシュC22にも当然装備されておりました。それらは未だに人気があります。何故なんでしょうね。
当時のアンプにはそれら以外にローカットフィルター・ハイカットフィルターなる物まで装備されておりました。それらの目的は我が国では無関係に近い内容の物でしたので詳しい内容は割愛します。
さてさて、では、何故当時のアンプにはそれらが装備されていたのか? 理由は当時のスピーカーシステムが放つ音が少々貧弱だったからです。特に我が国のスピーカーシステムの放つ音は貧弱だったと思います。それに対して当時のスピーカーシステムであった例えばタンノイのオートグラフの音は豪華絢爛でした。
当時呼ばれていた名前で呼びますがジムランのパラゴンの放つ音も豪華絢爛だったと思います。パラゴンは実は “二匹目のどしょう” を狙った二作目であった事は余り知られていない事実でしょうね。
パラゴンの前にはメトロゴンと云うD130一発のシステムがありました。当時は私は子供でしたので詳しくは知りませんが恐らく人気を博したのだと思います。そこで2インチドライバーと075の3ウェイとして販売したのがパラゴンでした。確かに見た目は抜群だと思います。
当時の超高級スピーカーシステムの場合は私に言わせれば当時から演出された音質でした。要するに人を酔わせてくれる音だったと思います。するとそれらを聞いた当時のオーディオ評論家と称する連中は今と同じでとんでもなくいい加減な評論を繰り返したのです。その中の一つが “トーンコントロール不要論” だったのです。
確かにオートグラフやパラゴンの場合はトーンコントロールは基もとの音質を崩してしまうと思います。では、それを全てのスピーカーシステムに適用して良いのか?
良い訳ありません。特に私のように貧乏学生でスピーカーユニット買い専門の庶民には通用しません。では、現在は?
AV用のトールボーイ型スピーカーシステムの場合は極端に演出した音だと言えます。あのボンボンと耳障りな音です。許されない音だと私は思います。
しかし、それらの音で満足している方々は以後このページを読む必要はありません。極端に演出された音は最早それ以上いじりますとハイファイから大きく反れる事になります。
あのボンボンと鳴り響く低音らしき音の中心周波数は約70Hzです。しかし、70Hzの音で果たして低音と言えるか? 言えません。いまいましい音です。更にバスレフ共振で作り上げた音ですので楽器の音とは程遠い音です。
ここでもう一度申し上げますが共振とは勝手に響く音です。例えばブランコの前後の動きと同じです。自然界に存在する物が共振しますと全てサインカーブになります。昔の振り子時計の振り子も当然サインカーブで動いております。それは物に限らず空間でも同じ現象になります。例えばウッドベースの音はボーンでは無く、本来の音はブルルンです。
このページは決して生音を再生するための手法のページではありません。何せ録音された音自体が本来の楽器の音ではありませんのでね。しかし、本物らしく聞かせる事は可能だと思います。その可能性を求めるページにしたいと思っております。
次回は “スピーカーシステムの基本的な音をいじって良いのか?” についてです。
コントロールオーディオの勧め No,1