一般的にMCカートリッジの最適負荷抵抗として表している数値は直流抵抗値を表示しております。理由は交流の場合は周波数によってその数値は大変に変動しますので表しようが無いのです。
この数値は恐らく数キロΩから数十キロΩに及ぶと考えております。
本機の場合はカートリッジの負荷抵抗は単なる固定抵抗です。すると直流に対しても交流に対してもその示す値は一定です。インピーダンス特性は示しません。要するに電気的特性は非常にシンプルであると言えます。
本機の場合はその値は 1kΩ~51kΩ の範囲で無段階です。この負荷抵抗は値により微妙に音質に影響を与えます。これは皆様がお使いのシステムの音質の傾向に合わせられる事を意味します。
この値は極々一般的なカートリッジの構造であるオルトフォンタイプの場合は最低の1kΩでほとんどの場合に非常にフラットな音質になるようです。逆に高抵抗にしますと高域にピークを持った音質になります。どちらを選ぶかは皆様の好みとシステムの音質に依り大きく左右されます。
これらの自由度を持たせたのが本機であるとお考え下さい。
リニアーICに共通した音質について
リニアーICは本来は直流を増幅する目的で開発されたアナログ式ICです。しかし、実際には交流でも使えます。そこで開発当初は工業用としてのリニアーICをそのままオーディオ回路に応用して大変に非難されたものでした。それは勿論音質に少々問題があったからです。
しかし、その後リニアーICは大変な進歩を遂げて今やリニアーICを使用していないオーディオ機器はほとんど無くなってしまいました。例えば放送局の各機器、録音スタジオの録音機器のほとんど全てがリニアーICの集合体です。理由は勿論電気的性能も音質も優秀だからです。
リニアーICは正確には各々の機種により差はあります。しかし、現実的にはその膨大な増幅率を利用して非常に深いフィードバックを掛けて使用するのが普通です。すると性能の差はほとんど全て消し去られてしまい、各々の差は基本的には無くなってしまいます。残された選択は各々使用方法に多少ですが違いがあります。その使い勝手で各エンジニアーは使い分けていると思います。
オーディオマニアが最も重要視するのは勿論音質です。しかし、リニアーICは総じて非常にクリアーでハッキリとした生々しい音を再生します。しかし、この事が人に依っては好まない場合もあります。要するにホールの響きの音を重要視する方々です。
しかし、本来響きとはソフト側でコントロールするものであり再生側にそれを求めるのは間違いだと私は思います。再生装置はソフト側の本来の音を正確に再生すべきです。そのような意味でリニアーICは非常に優れたディバイスであると私は思います。
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